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「みんなで選ぶ 薬局アワード」で特別審査員賞を受賞した 健やか薬局 高野尾店って、どんな薬局?
みんなで選ぶ薬局アワードで特別審査員賞を受賞した、健やか薬局高野尾店。
「お届けしたいのは、おくすりではなく健康です」というテーマで、地域ならではの課題を解決するための取り組みとして、薬局での健康相談、管理栄養士による栄養指導、宅食、見守り支援、運転代行など、独創的なサービスを紹介していただきました。
そんな 健やか薬局 高野尾店の魅力について、プレゼンターの浅香宏子さんにお話を伺ってきました。
あさか・ひろこ 株式会社メディカルリンク 薬剤部 課長、健やか薬局 高野尾店 管理薬剤師。三重県出身。
地域に根差した薬局の取り組みで、地域の皆さんが抱える課題を根本から解決する
――特別審査員賞の受賞、おめでとうございます。 まずは健やか薬局 高野尾店について詳しく教えていただけますでしょうか。
浅香
株式会社メディカルリンクは平成20年に設立された9年目の会社で、その中でも健やか薬局高野尾店は、2016年5月に開局したばかりの店舗。
会社として地域密着型の真の健康サポート薬局を目指すという理念で事業を行っており、高野尾店は健やか薬局というブランドで展開しはじめた、初めての店舗なんです。
薬剤師のほか、管理栄養士も在籍し、気軽に地域の皆さんに健康全般のご相談を受けられるような体制と雰囲気づくりをみんなで取り組んでいます。
店舗設計にも力を入れておりまして、処方箋がないときでも気軽に店舗に立ち寄っていただけるよう、カフェのような見た目で窓を大きくとり、オープンな雰囲気となるようにしています
――テーマ「お届けしたいのは、おくすりではなく健康です」でご紹介いただいた今回の薬局の諸々の取り組みについて、始めるきっかけは何だったのでしょうか
浅香
三重県 津市は国保に加入している方が多く、特定健診の受診率は全国平均より低いという状況でした。
そんな三重県 津市にある高野尾町は、プレゼンでもご紹介した通り、花や木の生産が盛んな田舎の町で、近隣にも農家さんが多い地区。薬局から車で10分圏内の地域には3500世帯の方がお住まいで、そのうちの60%はご高齢の方で、その半分は高齢者だけの世帯なんですね。
なにか地域に根差した調剤薬局の取り組みで受診率を高めることにつなげて、生活習慣病の予防につながればと思い、管理栄養士や栄養士が常駐している薬局作りから始めてみたんです。
――管理栄養士による栄養アドバイスがいつでも受けられるのは嬉しいですよね。今回の受賞では、他にはない独創的なサービスの部分が評価されていると感じました。浅香さんご自身はこれらの取り組みについて、どのように感じていらっしゃいますか。
浅香
他にも、もっとすごい発表があったので、正直分かりませんが、わたしたちとしては地域に向かい合い、地域のみなさんが抱える課題を根本から解決できればいいな、と思って取り組んでいましたので、そこが評価されたのであれば嬉しく思います。
とはいえ、まだまだ取り組みも始まったばかりですので、今まさに困難や課題に直面しているところだといえます(笑)。
薬局アワードでもいくつかご紹介したように、みなさんにあれやこれやとお薦めしたいサービスが増えていますが、これまでにない新しいことを提案して受け入れていただくには、私たち自身が信頼いただくところからしかスタートしない、と考えています。
そのためにも、まずは、やはり基本の薬局業務を通して、信頼を得ることが大前提だと考えています。
浅香
また新しいことをするというのは、地域の皆様にもそうですが、私たち社員の中でも通常業務との兼ね合いなどで難しく感じる部分があったりもします。
しかし目的は売上ではないわけですから、業務をこなすことを目的にせず、信頼されるサービスを基本薬局業務の中でスタッフ全員が発揮できるようにしたいですね。
非常に忙しい日々ですが、私たちの取り組みが持つ目的を忘れないように社員同士が目的をしっかりと共有し、焦らずに少しずつトライする。そうして地域の皆さまへ良い意味で浸透していけばいいなと感じています。
――薬局アワードに参加し、特別審査員賞を受賞してみて、どうでしたか。
浅香
会社の経営企画メンバーが、当店の参加を薦めてくれたことがきっかけでエントリーしてみたんです。まさか、決勝大会に残ることになるなんて。
とても驚き、あわてて発表の準備を進めました。薬局の全員で取り組んでいることなので、みんなでスライドや発表内容を見直し、営業終了後に、出前のピザを食べながら意見を出し合ったのがいい思い出です。
何かの目的に向かってみんなが一丸となれたのはとてもいいきっかけだったと思います。
受賞したことで、社内のメンバーからも、「おめでとう!」と声をかけられ、また、医薬品卸のみなさんなどからも声をかけていただきました。
会社のメンバーの中でも、東京や大阪の会合などで声をかけていただく機会が増えたようで、あらためて受賞の重みを感じているところです。
患者さんのつらさや不安を和げ、病気になっても向き合う勇気をもってもらいたい
――会社としては、今回薬局アワードでご紹介いただいた取組み以外にも様々な取り組みをしているようですね。具体的にどんなことをされているのでしょうか。
浅香
メディカルリンクとしては、薬歴自動作成のシステムや、在宅でのモバイル機器、多職種連携のICT活用への参画など、目的を達成するための効率化については取り組んでいただいています。
高野尾店の取り組みでいえば、昨年からレジをPOSレジにしており、OTC医薬品の販売、在庫管理などの問題を改善できました。お客様にとっても利便性を提供できていると感じています。
なるべく、お客様との対話に時間を費やせるように工夫したいと常々思っています。
そのためには、なかなか難しいところですが、調剤事務・管理栄養士のスタッフとの連携や役割分担も、とても重要になると思います。
こうした働き方の改善が、きちんとお客様への価値提供につながることが大切だと感じています。
――今後の健やか薬局の目標は何でしょうか。
浅香
アワードのときに質問にもいただきましたが、取り組みをきちんと進めるとともに、地域の方にもっと認知していただき、また同時に良い意味で利益も出せる取り組みにするということだと考えています。
良い取り組みも利益がないと続けることができません。
わたしたちの利益もいただきながら、それが地域の方にとってプラスになる、ということが一番いいと思っていますし、そうでないといけないと思っています。
難しいですが、せっかく大きな賞をいただきましたので、みんなで引き続きチャレンジをしていきたいです。
――薬局の今後のあり方については、どうお考えでしょうか。
浅香
もっと地域のみなさんに頼りになる存在になっていきたいと思っています。
薬局という場所は全国に6万か所もあるわけですし、医療機関としてはもっとも身近な存在になり得ると考えているからです。
実は私自身、病気で数ヶ月休職した時があるんですが、当時は「ほんとに回復するだろうか」、「自分はいつまでこんな辛い思いをしなきゃいけないんだろうか」という不安を抱えたり、休職していることへの罪悪感にも駆られたりして、肉体的にも精神的にも辛い時期が続いていました。
そんなとき人間にとって「孤独」「無関心」は最もダメージになります。
私の場合は、家族に支えられ、現状を受け止め、治療と向き合うことができたんですが、そういった経験を通じて感じたのは、どこかに拠り所があれば、心に余裕が生まれ、辛くても立ち向かう事ができるということでした。
薬局で患者さんと接していると、ご自身やそのご家族や関係者の心模様が言葉や表情に現れてきます。
患者さんの辛さや不安に共感し、それらが少しでも和らぐよう接することをモットーに、これからも健やか薬局を利用していただくことで、病気になっても向き合う勇気をもってもらえるように、取り組んでいきたいと思っています。
ファーマシストライフ編集部
(写真提供:株式会社メディカルリンク)
全国から、創意工夫している薬局の取り組みを募集し、独自の審査基準に基づいた厳正な審査を行い、最終的に代表薬局を選出。一般の方を対象とした「みんなで選ぶ 薬局アワード(決勝大会)」にて発表します。審査員と会場にお越しの一般の方の投票により、最優秀賞の薬局を決定するイベントです。 ※主催:一般社団法人 薬局支援協会
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