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「みんなで選ぶ 薬局アワード」でオーディエンス賞を受賞した 有限会社キムラ薬局本店って、どんな薬局?
2017年4月に行われた、「みんなで選ぶ薬局アワード」でオーディエンス賞を受賞した、有限会社キムラ薬局本店。
「薬局をハブにしてつながるネットワーク」というテーマで、ケア・カフェゆのまち、認知症ケア専門士、管理栄養士の栄養相談、がん医療ネットワークナビゲーター、健康フェア、サロン「ガーベラ」など、薬局による様々な取り組みをご紹介いただいたことは記憶に新しいところです。
そんな有限会社キムラ薬局の魅力について、プレゼンターの中島さんにお話を伺ってきました。
なかしま・みき キムラ薬局 専務取締役、本店管理薬剤師。別府市薬剤師会理事。プライマリ・ケア認定薬剤師。1977年生まれ。大分県出身。東京都立大学法学部中退、薬局事務を経て福岡大学薬学部卒業。創業41年の別府市の保険薬局の2代目。健康サポート薬局登録済。
薬局全体で地域住民の健康をサポートする
――オーディエンス賞の受賞、おめでとうございます。 まずは有限会社キムラ薬局について詳しく教えていただけますでしょうか。
中島
創業は1977年、病院で勤務していた私の母が出産を機に開局したのが始まりです。当時は、ご近所さんが夜中に薬を求めればシャッターを開ける、そんな地域で身近な薬局でした。
そこから2003年に地域の中核病院の門前に移転し、一気に処方箋応需中心の薬局となりました。現在では、別府市内に3つの薬局と1つのケアプランセンターを展開しています。
中島
キムラ薬局は、今年で創業から41年目になりますが、地域で身近な健康サポート薬局となれるよう原点回帰している状況です。今も母の姿を求めて通っていただく患者さんもいらっしゃるんですよ。
実は、私の薬剤師としてのスタートは30歳になってから。母からは、とにかく何でもいいから地域の勉強会に出なさいとアドバイスされてきました。
そうして、いろいろな勉強会に参加し、学んだことをできるだけ実践。さらに興味ある学会にも参加しては、必ず持ち帰って、何か自分の薬局で使えるようにすることを心がけてきました。
そのおかげか、今では地域で新しいことに挑戦している薬局はうちだ!という自信だけはあります。
――薬局アワードにエントリーしたきっかけは何だったのでしょうか?
中島
facebookで何気なく見かけたのがきっかけです。
もともと他の地域の薬局さんはどんなことをしているのだろうか?ということに興味がありましたし、自分の薬局の取り組みを発信して一緒に取り組んでもらえる薬剤師が来てくれればとも思っていました。
――実際に参加してみて、どうでしたか。
中島
まさか、あんな素敵なステージでお話しできるとは思っていなかったので、本当にびっくりしました。
もっと事前にしっかり準備していればよかったとか、アワードで皆さんの前で発表したのだから、さらに充実させなければ!という焦りみたいなものも少しありました(笑)
中島
しかし、それ以上に、熱い薬局、薬剤師のみなさんにお会いできて刺激を受けましたね。
審査員の方々のアドバイスも非常に参考になりました。違った目線で色々なかたのご意見がいただけることはめったにないチャンスですし、本当にラッキーだったなと思います。
薬局アワードでオーディエンス賞の受賞を経て、県内のあまりお話ししたことのなかった薬剤師の先生から「見たわよ!おめでとう!」とお声をかけられるということもありました。
また、薬局アワード当日、キムラ薬局で健康フェアをやっていたんですが、スタッフから「健康フェアの日にわざわざ東京に行った甲斐があったね!」と拍手をもらったりと(笑)嬉しい驚きがありました。
――薬局アワードでは、キムラ薬局本店のどんなところが評価されたとお考えでしょうか。
中島
今回の薬局アワードでは、「薬局をハブにしてつながるネットワーク」ということで紹介させていただきました。
薬剤師だけでなく薬局で働く他職種のスタッフと一緒に、薬局全体で患者さんをサポートするということ。そして、しっかりとした知識とスキルを持って、薬局がハブとなって解決につなぐことのできる場所となること。
薬局は薬だけでなく、健康を提供できる場所にも成りえるのだということを、薬局薬剤師の言葉で、一般の皆様に直接発信できたことで、薬局の取組みへの期待感や必要性を感じていただけたのが大きかったなと感じています。
――中島さんご自身は、キムラ薬局の魅力は何だとお考えですか。
中島
キムラ薬局の一番の魅力は何といっても「人」だと、私は思っています。
薬局事務をはじめ、管理栄養士、ケアマネージャー、登録販売員、認知症ケア専門士、がんネットワークナビゲーターなどのスタッフと、薬剤師が一緒に患者さんのサポートにあたる。
いわば、キムラ薬局全体が患者さんのサポートチームといっても過言ではありません。
中島
患者さんの健康や介護の問題について解決できたり、次へ繋ぐことができるようにするためには、多くの知識が必要です。日々の勉強は欠かせません。
薬局内の研修も月に何回かあるのですが、強制でないにもかかわらず、ほぼ全員参加している状況です。薬剤師、スタッフの方々、本当によく勉強しています。
ありがたいことに、今先頭に立っているスタッフはじめ、皆ついてきてくれています。ここに至るまでには、スタッフとの出会いも重要だったなと感じています。
――勉強熱心で素敵なスタッフの方々に恵まれているんですね。薬剤師をはじめとしたスタッフの方々の勉強について、薬局として何かサポートされているのでしょうか。
中島
研修会や学会の参加には全面協力できる態勢を整えられるよう努力しています。
私自身「薬局で働くスタッフが自己研鑽することで薬局のレベルアップにつながる」と考えているので、スタッフの勉強については、薬局としても更にサポートしていかなければならい部分だと思っています。
サポートの一つとして、今年から研修時の費用だけでなく、プラスで日当を支給するなどの研修補助をするようにしたんです。
薬剤師の場合は医療職であり、研究者でもあります。何より、頑張っている他職種のスタッフから「こんな薬剤師と一緒じゃいやだ!」と思われないためにも、やはり薬剤師としての勉強は必須と考えています。
これからの薬局は、便利さだけではもう生き残れない
――キムラ薬局の取り組みを知って、自分の薬局でもチャレンジしてみようと思った方もいると思います。今後も「生き残る薬局」ということを考えたとき、薬局としての課題は何だと思いますか。
中島
健康を維持したい、病院に行くかどうか迷っている、家族の健康や介護が心配、健康について何の制限もなく、気軽に入れる場所としては薬局が一番身近だと思います。
そこで悩みを解決できたり、薬局から次へ繋ぐことができるという流れが広まれば、今後は、いざ薬をもらうとなった時、自分のからだについてよく知っているところで薬をもらうのが当たり前になるのではないかと。
そうなると便利さだけではもう薬局は生き残れないのではないでしょうか。薬剤師にもますます多くの知識が必要になると思います。
薬局に来られる方に対してどれだけこたえられ、つなげられるか。また、それをどれだけ外にでてみなさんに知ってもらうか。とにかく外に出ないと、いろいろ知ってもらえないと思っています。
――キムラ薬局の今後の課題は何でしょうか。
中島
キムラ薬局の直近の課題は、薬局にこられる方の健康サポートをおこなうサロン「ガーベラ」をもっと外に広めていくことです。
まだまだうまく使えていないのが現状ですが、器は出来上がり、中身もできつつある。薬局全体でどんどん外にでて地域住民の方に知ってもらって、気軽に訪れていただきたいですね。
中島
特に最近は、患者さんやケアマネージャさん、施設さんから様々なご相談を受けることが増えました。
近隣のいろいろな施設が一同に会して情報共有だったり、なにかイベントを行ったり、企画ができたらいいなと考えています。
別府市の地域の薬局は古くからある薬局も多く、仲が良いので、それを生かして一丸となってどんどん多職種になじんでいきたいですね。
薬剤師という職業柄、常に知識を取り入れるのは当然ですが、それと同じくらい、薬剤師として外に向けて発信することも大事。現場で得た臨床研究を発信できるのは、薬局薬剤師の醍醐味であり魅力ともいえます。
今後も薬局全体で、どんどん外にでて地域住民の方に知ってもらって、気軽に訪れていただける場にしていけたらと考えています。
ファーマシストライフ編集部
(写真提供:有限会社キムラ薬局)
全国から、創意工夫している薬局の取り組みを募集し、独自の審査基準に基づいた厳正な審査を行い、最終的に代表薬局を選出。一般の方を対象とした「みんなで選ぶ 薬局アワード(決勝大会)」にて発表します。審査員と会場にお越しの一般の方の投票により、最優秀賞の薬局を決定するイベントです。 ※主催:一般社団法人 薬局支援協会
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