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薬局アワードでオーディエンス賞を受賞した”薬局・なくすりーな”に聞く「薬局の可能性」について

 

2019年5月に開催された第3回「みんなで選ぶ 薬局アワード」で、オーディエンス賞を受賞した薬局・なくすりーな。第2回から2年連続の受賞となりました。

今回のテーマは 特許申請中 携帯型医療用医薬品救急箱「ラクスリード」

「ラクスリード」とは、クライアントへの聞き取りをした後、薬剤師がその人に必要と思う5種の医療用医薬品を選んで設置する薬箱のことで、このラクスリードを設置している患者さんに対して、調子が悪いときには、どの薬を飲むか、または病院に行くかなど薬剤師に相談できるという取り組みを紹介いただきました。

そんな薬局・なくすりーなの魅力について、プレゼンターであり、薬局長の吉田聡さんに薬局の創意工夫による「薬局の可能性」についてお話を伺いました。

吉田聡さんのプロフィール
よしだ・さとし 1977年生 神戸学院大学薬学科卒
株式会社LLE代表取締役。薬局・なくすりーな薬局長。延べ30万人の服薬指導に当たる中、その薬が本当に必要なのか疑問を持つ。近年、薬剤師の本質は不必要な薬を引き算すること、という考え方にたどり着いた。患者に寄り添う服薬指導には定評がある。その他、『薬の引き算をする薬剤師』として講演やコラム執筆などでも活躍中。
その他、『心に響くプレゼンテーションデザイナー』として、プレゼンやPowerPointの作り方を伝えるセミナー、個別指導を手がける。NPO法人日本セラピーブリッジでは副理事長としては、医療とセラピーを繋ぐことで、心の病の薬を減らす活動を行っている。

 

患者さんのニーズに対して、自分や薬局として、できることは何か

——改めまして、2年連続オーディエンス賞の受賞、おめでとうございます!薬局アワードは通算3回目の出場となりましたね。

吉田:

お陰様で、色んなところで、勉強会や学会などで声をかけられるようになりました。

あと、Voicyの医療・健康ナビ「なくすりーな」も聞いてますよ、とか初対面の人に言われるとちょっと恥ずかしくなったりもします(笑)。

 

——『特許申請中!携帯型医療用医薬品救急箱「ラクスリード」』が広く知られるきっかけとなったと感じています。実際にオーディエンス賞を受賞してみて、どう思われましたか。

吉田:

自分の中では、肌感覚的にニーズを感じていたのが、受賞してみて裏付けられたという印象です。そう言う意味で、ラクスリードは絶対に世の中に必要だし、役に立つと自信を持つことが出来ましたね。

今は10名へのテスト期間中のため、まだオープンしているわけではありません。ですので、まだ患者さんたちにはお伝えしてないんです。

でも、何かの記事で見たのか、すでに問い合わせが数件ありました。

 

——一般の方々からも注目度の高い取り組みだと思います。ラクスリードを始めるにあたり、やはり色々と大変だったのではないでしょうか。

吉田:

そうですね。特に、法律コンプライアンスについては慎重に慎重を重ねて調査しました。

弁護士・厚生労働省・保健所に何度も確認し、問題の無い販売方法である事は確認済です。その部分を除けば、薬局でやること自体は難しくなくて。

きちんと来局者に周知させていければ、だんだんラクスリードの顧客も増えていくと思っています。

薬の管理方法については、レセコンのメーカーによるかもしれませんが、レセコンにおいて自費扱いで登録すれば、薬歴が残すことが出来るので、処方せん調剤と同じように管理が可能です。

 

——携帯型医療用医薬品救急箱ラクスリードのお薬の選択はどういった観点で選んでいるのでしょうか。

吉田:

まずは患者さんからヒアリングをするんですね。ここでは、この方が普段どういうことで困っているのかを中心に考えます。その悩みに対して必要な薬のサポートは何か。また、それ以外では何が必要か、などを考えてヒアリングしています。

患者さんへのヒアリング結果で、どのような薬が合うかを薬剤師が選びます。ここが薬剤師の職能の見せ所なのかなと思っています。

吉田:

お薬を渡している間の連絡頻度としては、ラクスリードは頓服的に使うので、患者さんには、どのようなときに使うのか判断がつかなかったらすぐに連絡してもらうように、ということを中心にお伝えしています。

まだモニター10名の少人数ということもあって、LINEなどでのそうした連絡については今のところ月1〜2回ほど、という状況です。

 

——なるほど。そのようにお薬を選んで進めていらっしゃるのですね。
こうした取り組みを進めるにあたって、よく薬局・薬剤師の皆さんが心配されるのは、業界内に敵を作ってしまうことだと思うのですが……そういった所はどうなのでしょう。

吉田:

その可能性はあるかもしれません。しかし、患者さんや医療費のことを考えると、どちらが優先かは明白なのかなと感じてます。

零売だけを行っている薬局も通常の広域卸と取引出来ているようですので医薬品卸に関しては問題はないのかなと思っています。

 

——確かに、患者さんや医療費のことを考えると、今後、業界全体で考えていかなければならないことだと感じています。他の薬局・薬剤師が、薬局・なくすりーなさんと同様の取り組みをしてみたいと考えたとしたらならば…何かアドバイスいただけますか。

吉田:

ラクスリードをそのままやっていただくのでもいいのですが、まずは、患者さんが何を求めているかがありきだと思っています。それは薬局によって異なるはずです。

よく、自分たちが考えている問題を勝手に患者さんに当てはめて進めてしまいがちですが、そうではなくて。実際に患者さんが抱えている問題にフォーカスすることが重要だと思います。

自分の所の患者さんがどんな問題を抱えているのか、それを解決する方法は何なのか、と言う事をリサーチしたり考えたりすることから始めてみてはどうかなと思います。

そうした患者さんのニーズに対して、自分や薬局として、できることは何かと考えることが重要だと感じています。

なくすりーなの取り組みは全て、そこが発端になっているんですよ。

 

——素晴らしい考えですね。こうした薬局・なくすりーなのチャレンジ精神はどこから来ているんでしょう。

吉田:

自分では、そんなつもりは全くなくって。この問題に対してどうしたらいいんだろうと考えたことを、思いついたことを随時やってる感じなんです。そう言う意味では全て行き当たりばったりとも言います(笑)。

 

薬剤師が活躍することで効率的になる、という体験をしてもらうことが重要

——吉田さんが考える「良い薬局」って、どんなところでしょうか。

吉田:

うーん。難しい質問ですが、心も体も健康にする事が出来る薬局なのかなと思っています。そして、その為の努力を続けている薬局と言うことでもありますね。

 

——調剤業務のあり方については、いろいろ検討が進められていますよね。吉田さん的には、今の業界全体の現状にはどんな課題を感じていますか。

吉田:

そもそも、医療や介護は、もっと薬剤師が活躍することで効率的になると思っているんです。とはいえ、このことを医療・介護施設の方々や患者さんに感じられていないことが問題でもあると思います。

医療や介護領域など、他の職種や職場という、薬剤師にとって身近なところからにはなるんですが、まずは、とにかく知ってもらうこと。そして、薬剤師を使って役に立った、効率的になったと感じてもらえれば状況も少しは変わってくるのではないかなと思います。

ですので、今後重要となってくることとしては、患者さんにも医療・介護施設にも、薬剤師が役に立っているという体験をしてもらえるような取り組みが必要だと考えます。

 

——薬剤師がやっていることを知ってもらうことは、本当に大事だと思います。それでいうと、薬局の創意工夫した取り組みがますます重要になってきますね。

吉田:

そうですね。小さな薬局が今後どう生き残っていくかというのは、大手と違うことをする、と言う一点しかないと考えています。そう言う意味では、薬局における創意工夫は必須だと思います。

薬局の創意工夫に挑戦する際に、間違いなく失敗はつきものです。失敗をネガティブに捉えず、それを受けてどのようにするかを考えていくと良いのかなと思います。

 

——もちろん、来年も薬局アワードにエントリーされますよね??

吉田:

よく皆さんに言われますが、流石にそんなに沢山アイデアはないですよ(笑)。

もし、出場出来るとすれば、ラクスリードがどのように発展していったかなどを発表出来たら面白いかもしれないですね。

ファーマシストライフ編集部
(写真提供:株式会社LLE)

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