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「第3回 みんなで選ぶ 薬局アワード」2019年の結果発表!
2019年5月19日、東京・中目黒GTプラザホールにて開催された、一般社団法人 薬局支援協会主催の「第3回 みんなで選ぶ薬局アワード」。
第3回という今年は、節目にふさわしく、NPO法人「がんノート」代表理事の岸田徹 氏や漫画「アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり」医療原案・薬剤師の富野浩充 氏をはじめとした多彩なゲストが審査員として参加。
薬局の取り組みは、ますます発展しており、薬局アワード開始以来の大きな盛り上がりを見せた。
目次
- 1 2019年の受賞結果
- 2 最優秀賞 『地域を繋ぐ、笑顔のコミュニティスペースで健康づくり』まごころ薬局 (株式会社コーディアル)
- 3 特別審査員賞 『薬局版こどもミュージアムプロジェクトがつくる優しい地域』エール薬局鴨居店 (株式会社スカイファルマ)
- 4 オーディエンス賞 『特許申請中 携帯型医療用医薬品救急箱「ラクスリード」』薬局・なくすりーな (株式会社LLE)
- 5 『地域の人々の健康的な生活を支えるため、専門スタッフによる、健康情報発信基地』オール薬局 (マイライフ株式会社)
- 6 『「トジスト」開発に至るまで –ホッチキスの針ゼロプロジェクト−』穴水あおば薬局 (株式会社ニイザ)
- 7 『スーパーマンはいらない みんなで支える在宅医療』まんまる薬局 (株式会社hitotofrom)
2019年の受賞結果
イベントの目的は、「薬局ってどこも一緒じゃないの?」「信頼のおける薬局を探したい」そんな患者さんの疑問や要望に応えるべく、一般の方々に薬局の取り組みを知ってもらうこと。
薬局アワードの代表薬局は、背景・思い、患者視点、独創性、社会性、再現性、将来性という6つの評価項目に基づき、1次審査、2次審査を経て6組の薬局が代表に選ばれる。
そしてイベント当日、それぞれの取り組みについて代表薬局の発表を聞いた上で、薬局アワード来場者と審査員の投票により受賞薬局を決定する。
2019年「第3回 みんなで選ぶ薬局アワード」で見事 最優秀賞に輝いたのは、
『地域を繋ぐ、笑顔のコミュニティスペースで健康づくり』を発表した【まごころ薬局】。
特別審査員賞は『薬局版こどもミュージアムプロジェクトがつくる優しい地域』を発表した【エール薬局鴨居店】に。
オーディエンス賞は『特許申請中 携帯型医療用医薬品救急箱「ラクスリード」』を発表した【薬局・なくすりーな】に贈られた。
以下、最優秀賞、特別審査員賞、オーディエンス賞を受賞した薬局と、その他の代表薬局を登壇順に紹介していく。
最優秀賞 『地域を繋ぐ、笑顔のコミュニティスペースで健康づくり』まごころ薬局 (株式会社コーディアル)
自分の役割、好きなこと・気づき、新しいつながりが生まれる場所
薬局に併設しているコミュニティスペースで月に1回、地域の人と膝を突き合わせて議論する「オープン会議」を開催。イベントの企画は毎回、参加者が自発的に行い、近隣の人々を巻き込んでいく地域住民参加型の取り組み。
テーマは薬局をどのような「場所」にしたら面白くなるか。これまで実施してきたイベントについては、「患者さん、地域の人と内装を一緒に作るDIYイベントの実施」「天然温泉を銭湯から運んでもらって足湯」「高齢者や要介護の方が主役になれるファッションショー」など多岐にわたる。
徐々に参加者は増え、1回あたりの参加者は20~30名ほどにまでなったそうだ。
取組みを通じて、いつも不調を訴えていた近所の老患者さんが自分もまだ出来ることがあると思えた瞬間に驚くほど元気になったという。
今後も「こんな経験をしてもらいたい」そんな地域の方々との思いをきっかけにして、新しい薬局の価値を生み出していきたいと考えている。
特別審査員賞 『薬局版こどもミュージアムプロジェクトがつくる優しい地域』エール薬局鴨居店 (株式会社スカイファルマ)
医療費高騰につながる”薬の飲み忘れ”、”飲み忘れによる症状の悪化”を防ぐ
医療費高騰が大きな社会課題となっている中、薬の飲み忘れによる症状悪化に注目し、子どもたちが描いた「お薬しっかり飲んでね」をテーマにした絵を薬袋に印刷することで、薬の飲み忘れを防いでいくという取組み。
こどもミュージアムプロジェクト協会が進める「やさしい気持ちが未来を創る」を推し進めるべくトラックに子供達の絵をラッピングした取り組みを薬局に応用したものだという。
待ち時間や薬局内イベントの中で絵の収集を行い、その絵を子ども本人やその両親、祖父母の薬袋の裏面に印刷。これによりアドヒアランスが向上 し、症状の悪化を防げるという。
今後も地域のイベントを通して、近隣住民から喜ばれ、地域と深いつながりを持てるような薬局を目指したいとのことだ。
オーディエンス賞 『特許申請中 携帯型医療用医薬品救急箱「ラクスリード」』薬局・なくすりーな (株式会社LLE)
薬局が提供する”携帯救急箱システム”で医療の適正化へ
ラクスリードは、処方せん医薬品以外の医療用医薬品を携帯出来る形で詰め合わせた救急箱のこと。
この救急箱の設置にあたっては、クライアントへの聞き取りをした後、薬剤師がその人に必要と思う5種の医療用医薬品を選ぶ。調子が悪いときには、どの薬を飲むか、または病院に行くかなど薬剤師に相談できるという。
軽微な疾患を家で手当て出来れば、感染症の流行する時期にも院内感染リスクが下げられる。軽微な疾患で病院にかからなくなれば、より必要な人に医師が時間がかけられ医療の質が上がる。こうしたことから、患者さんに安心安価なお薬、病院には医師の負担減、国には医療費削減の「三方よし」で、吉田氏は医療の適正化につながるのではと考えている。
現在、モニターとして既に10人が利用しており、利用者からは「不調時、悪化する前に対処が出来る」「大きな病気の前兆かどうかの判断を医療者である薬剤師に相談出来る」「持っていることで、何かあっても大丈夫という安心感が得られる」と好評だという。
薬物乱用を防ぐため、薬は少量ずつ渡し、補充は1ヶ月に1回。使わない薬の変更等の相談も随時受付。期限切れに関しては、薬局から連絡が行くように考えているようで、ラクスリードのシステムに関しても特許出願中とのこと。
『地域の人々の健康的な生活を支えるため、専門スタッフによる、健康情報発信基地』オール薬局 (マイライフ株式会社)
食事・運動・健康、睡眠にも関与。新たなヘルスケアの拠点で行動変容を
高齢化が進んでいる広島県呉市は行政においても全国初の取り組みを多く行う地域。
そのような環境で生まれた、食事・運動・健康チェックが体験できる新しいヘルスケアの拠点「オールファーマシータウン」。処方せんを持参せずとも気軽に利用してもらい、医療・介護・食事など、すべてがワンストップで解決出来る薬局づくりを進めるという取組みだ。
<ローソン>では健康に特化した商品・サービスを展開。また生活習慣病・未病に対応した健康食、医薬品の供給や、買い物ついでに気軽に介護等の相談ができる介護相談窓口を併設。
<オールカフェ × タニタカフェ>はタニタのコンセプトに沿った「楽しくておいしい食事」を提供。さらに体組成計などの計測機器で気軽に健康チェックできるラボ、その測定データを利用した栄養相談を行う。
<運動スタジオ(オールライフフィットネス)>では無理なく継続でき、ニーズに合わせた運動プログラム提供。ロコモ対策を中心に健康寿命延伸のサポートしていく。
『「トジスト」開発に至るまで –ホッチキスの針ゼロプロジェクト−』穴水あおば薬局 (株式会社ニイザ)
針なし電動ステープラーによる安全性、作業効率の向上
薬局ではホッチキスなどを使用して医薬品を一纏めにすることも多い。
これにより薬は管理しやすくなるが、薬局側の負担は大きい。ユーザー側にもホッチキス針による怪我、分包紙や包装の破損による薬剤の毀損や喪失、薬剤に混入したホッチキス針の誤飲などのリスクがある。
在宅医療に関わる方々の声をきっかけに、ホッチキスの針を使わない、しかし薬包紙に穴を開けず、熱も加えない「針なしステープラー」の大型化・高圧力化・電動化した機械「トジスト」の開発が今回の取組みだ。
現場の医療従事者や患者さんからの反応は「仕上がりが綺麗」、「針がなくて安心」と好評。スタッフも「作業が楽、早くできる」ということで、作業効率化と安全性向上を両立できているという。
日本全国の薬局に浸透させ、ホッチキスの針によるリスクゼロの達成を目指したいとの考えだ。
『スーパーマンはいらない みんなで支える在宅医療』まんまる薬局 (株式会社hitotofrom)
”ボランチ”が支えることで、在宅医療に携わる薬剤師がいっそう輝ける
在宅医療に特化した同薬局で独自の 「ボランチ制度」を採用。思いのある全ての薬剤師が在宅医療の現場で活躍できるという取組み。
ボランチ制度とは、薬剤師を支える非薬剤師が、薬剤師と一緒に患者さん宅に訪問する。サッカーで言うところのボランチ(守備的な役割を担うMF)の役割を果たすことで、どんな薬剤師でも在宅医療の現場で活躍できるようにするという、まんまる薬局が独自に考案した制度のこと。
薬局で在宅医療を始めるにあたり、運転免許の有無、初回訪問時の精神的負担、患者さん宅での様々な作業負担や移動時間など、色々なハードルがある。しかし、非薬剤師がボランチとして薬剤師を支えることで、薬剤師は薬のスペシャリストとして患者様に集中できるようになると考えている。
今回の薬局アワード出場をきっかけに、在宅医療が今まさに必要となっている社会的な背景や、薬剤師が在宅医療の現場でどのような活躍をしているのか、もっと多くの方々に知ってもらいたいという。
まんまる薬局 『スーパーマンはいらない みんなで支える在宅医療』発表者 松岡光洋さん
以上、「第3回 みんなで選ぶ 薬局アワード」の受賞結果速報をお伝えしました。
今回も全国遠方からお越しの方も多く、来場者については150名定員の会場は満席、さらにイベント観覧希望者は当初見込みを大きく上回る数となり、観覧を断らざるを得なかった方も多かったそうです。
会場にいる方のうち、薬剤師・薬局関連の方は3~4割。薬学生を含めた一般人は半数以上となり、”一般の方々に薬局の取り組みを知ってもらう場”として、薬局アワードがいよいよ力を発揮してきているのではないかと感じました。
薬局アワード当日の様子をまとめたイベントレポートはこちらからご覧いただけます↓
薬局の可能性が広がる「第3回 みんなで選ぶ 薬局アワード」2019年イベントレポート
第3回「みんなで選ぶ薬局アワード」に参加できなかった方は、ぜひチェックして下さいね。
全国から、創意工夫している薬局の取り組みを募集し、独自の審査基準に基づいた厳正な審査を行い、最終的に代表薬局を選出。一般の方を対象とした「みんなで選ぶ 薬局アワード(決勝大会)」にて発表します。審査員と会場にお越しの一般の方の投票により、最優秀賞の薬局を決定するイベントです。 ※主催:一般社団法人 薬局支援協会
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