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薬剤師の経済学的視点(薬剤経済学について)
薬剤師の仕事を経済学の観点でで考えてみます。
薬剤師の経済活動の大きな特徴は、その大半が医療保険制度に依存しているという事です。調剤報酬は全ての作業が保険調剤の範疇で行われる事で初めて支払われます。一般の自由な経済とは違った、やや統制されている経済と言えます。
日本の医療保険制度は世界的に極めて高い評価を誇るシステムですが、近年医療費の伸びが経済成長を上回ってしまい、財源を確保することが年々困難になってきているそうです。その主たる原因である少子高齢化社会へのシフトに伴い、今後は一層老人医療費が増大していくことが予想され、医療費の削減が急務となっています。
医療費削減に向けた活動
薬剤師は情報提供や啓蒙活動などを通じて医療費削減に貢献しています。例えば学校で生徒や児童に煙草の害を伝える禁煙啓発活動もそのひとつです。また、薬局でも禁煙補助剤を使用した禁煙を奨励します。こうした活動により、成人病の発生リスクを抑える事に貢献しています。
一方、病院経営を好転させる事も薬剤師の経済活動と言えます。「ファーマシューティカルケア」という言葉があります。薬剤管理指導や薬剤情報の提供を通じて、患者のQOL(Quality Of Life)を改善する目的で薬剤師が薬物療法を行う事です。この事が経営改善に効果がある事が実証されています。
また、医療費を一定額に抑えるDPC(包括支払い制度)や、ジェネリック医薬品の使用の推奨も医療費の削減に貢献しています。
こうした薬剤師の経済活動は、薬剤経済分析という手法で評価されます。その方法は費用最小化分析、費用効果分析、費用効用分析、費用便益分析などがありますが、特に効果が明確に分析できるため費用対効果の手法がよく用いられます。
最近薬局の経済学的側面において発生した問題
厚生労働省が2011年11月に調剤ポイントを禁止する方針を打ち出しました。
これに対し、日本チェーンドラッグストア協会は徹底抗戦の姿勢を示しました。病院や診療所は営利目的で開設する事は医療法で禁止されていますが、薬局には明確な規定がないそうです。そのため厚生労働省がパブリックコメントをとったところ、95%が禁止反対の大差となり、サービス禁止は2012年の10月まで延期する結果となりました。薬局が営利目的で経済活動を行う事が、公的に許容されたと言える一件でしょう。
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