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医療機関と調剤薬局の関係性 -門前・マンツーマン(点)・面-
調剤薬局の形は、大きく分けて下の3つに分類されます。(対医療機関の薬局形態について)
- 大規模病院の前にある門前薬局
- クリニック、医院の近くにあるマンツーマン薬局(点)
- 面分業を行っている薬局
今回は、それぞれの薬局と医療機関の関係性についてお話していきます。
※基本的に薬局と医療機関は利害関係があってはいけません。
門前薬局と医療機関
東京都内には、大学病院、大規模総合病院、多数の医療機関が存在しますが、それでも各病院の1日平均来院人数は2000人を超えると言います。そのため、各調剤薬局はその病院の来院患者数を見て、病院の門前に薬局を構えます。
4軒の調剤薬局があったとしても、単純に計算して1日の門前処方箋枚数が400枚以上にはなるであろうと試算できますので経済的体力のある大手の調剤薬局が最新の機器を備えて望みます
。大規模病院は基本的に月曜~金曜に外来を行います。午後の外来終了が早いので、患者さんが薬局に来るのは最終で17時です。そのため、門前薬局は比較的残業もなく18時にはしっかり薬局を閉めて帰宅することができます。
〝医療機関との関係〟
近年、病院では電子カルテの更新やバージョンアップを病院をあげて取り組んでいます。
しかし、調剤薬局の利便性を考えて2次元バーコードの読み取り用コードを付けてあげましょう!などの話は、一切出てきません。
処方箋を悪用されないように特注の紙のみで印刷をする、特別な透かしを入れるなどの方向性に議論が集中するため、調剤薬局の話題は一切ありません。
当然、広範囲に処方箋が飛ぶことが予想されますので疑義照会についても院内ルールが存在します。
処方箋上に疑義がある場合は、調剤薬局はまず処方箋上にある問い合わせの欄にある電話番号やFax番号にコンタクトを取ります。一般的には薬剤部に処方箋と疑義内容をFaxします。そして、院内の薬剤部の薬剤師が医師に内容確認を行い、調剤薬局に回答をフィードバックします。
そのため、大規模病院と調剤薬局の間は、基本的には疑義紹介時にコンタクトがあるのみです。
マンツーマン(点)薬局と医療機関
クリニックや医院と調剤薬局が同時にオープンする場合は、開業する医師が前もって近隣の薬局にあいさつ回りをします。
近隣に調剤薬局がない場合は、卸業者や専門業者、以前の病院で一緒に働いていた薬剤師に薬局をしないか?と話を持ちかけます。
医師の考え方にもよりますが、処方した薬を在庫している薬局が近くにあると患者さんのためになるからです。いざ、患者さんが家の近くの薬局に処方箋を持っていって「在庫していません」と言われた場合、患者さんに影響が出てしまうからです。
また、医薬分業が進んでいる背景から院内処方をしているクリニックの先生が院外処方に切り替えるタイミングでも同時オープンをする時と同じような働きかけをします。
〝医療機関との関係〟
マンツーマンのよい点は、調剤薬局においても在庫管理がしやすいことです。
多くのクリニックの医師は電子カルテを導入しますので、処方箋発行も2次元バーコード付きで薬局は処方入力の手間を8割程度省略することができます。
また問い合わせも電話で直接医師に行うことができるのでフランクなお付き合いができます。
クリニック側も、薬についての問い合わせがしやすく病院の薬剤部に問い合わせる感覚が再現できるため重宝されます。
勉強会や講演会を通じて、席を同じくすることも可能ですので、お互いの人柄を知りながらお付き合いができるでしょう。
しかし、近年のクリニックは患者さんからの評判をとても重視する傾向にあります。
理由は、経済に直結するからです。そのため、医師と薬剤師の関係性が良好でないと非常に難しく、いろいろなことが裏目に出てしまいます。
面分業薬局と医療機関
主に駅前の立地条件のよい場所に立てられます。または、住宅の密集地や商店街等に散見されます。
人の往来が頻繁にある立地場所は、帰宅途中の患者さんからの処方箋が期待できるために
地代家賃が高くても将来性を考えて立てられます。
特定の医療機関との関係は一切なく、反対にクリニック側から「近くに薬局ができてうれしい」などのお言葉を頂くこともあります。
しかし、面の場合、多数の医療機関からの処方箋を扱うため在庫の管理が非常に大変です。(都内では100から200の医療機関の処方箋が面分業の調剤薬局に集まります)
箱買いをしても次回同じ患者さんが来局される保障は一切ないため、デッドストックを多く抱えることになります。
面分業薬局の良いところは、地域の薬剤師会の力が強いところです。
薬剤師会の歴史の長いところは、「かかりつけ薬局」という目標に向けて努力しますので、
医療機関に頼らず地域のかかりつけ薬局を目指し、面分業の薬局が多く存在します。
同じ地域内のため、薬剤師会に入っている薬局は不足の薬を近くの薬局に走って買いに行き、患者さんを待たせることなく適切なサービスに結びつけることができます。結果、デッドストックも比較的少なめにすることができるのです。
〝医療機関との関係〟
面分業の薬局には、医療機関との関係がありません。よって、局外の人間関係のしがらみはありません。患者さんに重宝され、かかりつけ薬局を目標にすることができるため、薬剤師の力量に比例して運営することができるでしょう。
おわりに
転職活動を行う上で、注意することは、若いうちから面分業を行っている調剤薬局を目指さないことです。まずは、多くの処方箋を経験できる大手の調剤薬局でしっかりとした教育を受けてからというのが適切だと思います。
その後、自分の適性を判断して、医療機関との人間関係に興味がある場合はマンツーマンへ。ビジネスライクに薬剤師の力量に挑戦したい場合は、面分業へと進むとよいでしょう。
それぞれメリット・デメリットはありますが、その場所でお金では買えないものが身に付くことでしょう。
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