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電子お薬手帳のメリットと デメリットについて

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「お薬手帳」と言えば、今まではA6サイズの紙媒体の手帳でした。調剤薬局では、この手帳を利用して、薬の飲み合わせや重複、副作用やアレルギー歴などを確認し、安全に薬を使用するために薬剤師がチェックをした上で記入しています。

現在、このお薬手帳が電子版になり、様々なメーカーにより開発され、全国に拡がりつつあります。この電子お薬手帳とは、どのようなものなのでしょうか?

メリット・デメリットについて

お薬手帳は、いつもの薬局でお薬をもらう時より、いつもと違う医療機関に行った時に、より重要になります。旅先や出張先でも、急に具合が悪くなって、かかりつけでない病院に行った時に、お薬手帳があれば、いつも飲んでいる薬がすぐにわかり、飲みあわせのチェックができます。

東日本大震災の時も、お薬手帳が役に立ったため、万が一の震災の際も重要であることから、国もお薬手帳の普及に努めて来ました。しかし、普段、常にお薬手帳を持ち歩いている人は少ないのが現状です。

薬局に処方せんを持ってくる患者さんも、お薬手帳は不携帯、しかも、使用している薬の名前を把握していない人は少なくありません。

薬剤情報提供料の算定割合が、75歳以上の高齢者、また0~4歳児までは8割近いが、一方で10歳~70歳までは算定割合が4割未満で、お薬手帳の持参率も低い傾向が見られるというデータもあります。

電子お薬手帳のメリット

電子お薬手帳だと、携帯率の高いスマートフォンを利用したり、お財布に入るICカードを利用したものもあるため、情報を携帯しやすいというメリットがあります。

また、アプリを利用したものだと、薬を飲む時間をアラームで教えてくれたり、家族間の情報を共有できる機能がついているものなどもあります。

電子お薬手帳のデメリット

デメリットとしては、いろいろな病院から薬をもらう確率の高い高齢者は、スマートフォンの所持率は低いですし、機械を使いこなせない、苦手意識があるなどという問題があるため、紙のお薬手帳の方が使いやすいと言えます。

個人情報のセキュリティーは大丈夫か?という問題や、アプリによっては、スマートフォンをいちいち薬剤師に渡さないといけないシステムのものもあります。

いろいろなメーカーが、独自のシステムを開発していて統一されていないため、情報共有がまだまだできないことや、薬剤情報提供料の算定の対象になっていないことも課題であります。

どんな種類・メーカーのものがあるのか?

メーカーが独自に開発しているもの、地域の薬剤師会が主導で推進しているプロジェクト、調剤薬局が自社ツールとして開発しているものなどもあります。

電子お薬手帳 設置の流れ

いろいろな電子お薬手帳がありますが、どのようなものなのか、川崎市薬剤師会の取り組みを例に紹介します。

川崎市薬剤師会の取り組み

川崎市薬剤師会は、川崎市とソニーと協力して、「harmo ハルモ」という電子お薬手帳の試験運用に取り組んでいます。

薬局では、レセコンから出力される患者のデータをクラウドの送信する為の機材と、ICカードリーダーを設置します。そして、薬局は利用者にカードを発行し、患者はカードリーダーにタッチするだけです。

ソニーのシステムは、非接触ICカード技術Felica(フェリカ)を利用しているため、クラウドサーバー上に患者を特定する情報を保持しないため、個人情報に配慮されたシステムになっています。

スマートフォンからもアプリをインストールして情報を見ることもできますので、家族間でお薬情報を共有することもできます。

電子お薬手帳の今後

電子お薬手帳などの医療のIT化は、政府が掲げた「どこでもMY病院」構想の基点となっています。この構想は、これまで医療機関の中でのみ利用されていた医療情報を、医療サービスを受ける患者自らが保有し管理活用することを可能とするためのサービスです。

これにより患者は過去の自身の医療・健康情報を医療機関等で提示し、その情報を踏まえた医療サービスを受けることができたり、自らの健康管理に活用することができるというメリットが考えられています。

今後の電子お薬手帳に必要なのは、情報をどこでも共通して入手できるように、統一化が図られることです。もちろんセキュリティーの強化や利便性の向上なども求められていきます。

おわりに

まだまだ、患者は医療に受け身の姿勢が強いですが、電子お薬手帳の拡がりで、自分で健康管理をする意識も拡がり、より安全に正しく薬が使用されるようになるといいですね。

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