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病院と調剤薬局で何が起こる?!平成26の診療報酬改定 5つのポイント
平成26年4月1日より、診療報酬改定が行われました。
基本認識として、「入院医療・外来医療を含めた医療機関の機能分化・強化と連携、在宅医療の充実等に取り組み、医療提供体制の再構築、 地域包括ケアシステムの構築を図る。」と掲げられており、「かぜで近くの大学病院へ」というような大規模急性期対応可能病院への患者の集中や入院日数の見直しを行い、医療機関が本来の機能に沿った診療に力を入れられるように、地域医療、在宅医療の拡充に力を入れていくものであると解釈できます。
今回の改定は、薬局にとっては厳しい内容です。今までの業務内容では基準調剤加算、後発医薬品調剤体制加算、薬歴管理料などの算定が難しくなっています。
1.調剤基本料の見直し
調剤基本料の特例に「2500回超・90%超」を追加
これまで「処方せん受付回数月4000回超かつ集中率70%以上」の薬局が特例の対象となっていましたが、今回から「処方せん受付回数月2500回超かつ集中率90%以上」という項目が追加されました。
これにより月2500回超、4000回未満だった門前薬局の多くは25点の算定となり、減収となるため、経営へのダメージは大きなものとなります。
一部の大規模門前薬局への利益集中が批判されており、門前薬局の評価を見直す対応でもあります。
基準調剤加算の算定が厳しく
基準調剤加算1 (12点)
近隣の保険薬局と連携して 24 時間調剤及び在宅業務ができる体制を整備する
(当該薬局を含めて10薬局未満、輪番制可能)
基準調剤加算2 (36点)
当該薬局のみで24時間調剤及び在宅業務ができる体制を整備する
在宅業務実績を有していること(過去1年間で10回以上)など
基準調剤加算を算定するためには、24時間対応がポイントになります。
しかし、すんなり「24時間開局」を選択するのは難しく、準備や課題がいくつもあります。
人員の確保、夜間の人件費、セキュリティ強化のための環境の整備、夜間窓口や当直室などの設備の準備 など、よほど処方せん枚数が見込めなければ、採算が合わず経営が厳しいと言えます。
2.お薬手帳の取り扱いが厳格化
「お薬手帳なし」の特例を新設、34点に
薬剤服用歴管理指導料(薬歴管理料)の算定要件も変わりました。
「お薬手帳を必ずしも必要としない患者に対し特例を新設する: 34 点」との方針に基づき、「手帳なし」の特例が新設されました。患者が手帳を忘れた場合でも、シールのみの発行では減算となります。
東北の大震災の際、飲んでいる薬を把握していない患者が多く、医療従事者は大変苦労しました。その際、お薬手帳が活躍したため、お薬手帳の使用を推進してきましたが、「困った経験」をしないと大切さに気づかない患者が多く、シールだけ貰えればいいと思っている患者もいます。薬局側も指導や啓蒙が不十分だったことが指摘されたかたちです。
薬局としては安全に薬を使用してもらうために、引き続きお薬手帳の重要性を訴えていく必要があります。
3.在宅医療の充実
在宅患者訪問薬剤管理指導料の見直し
- 高齢者施設等の同一建物居住者の場合 350点から300点に引き下げ
- 同一建物以外(居宅等)の場合 500点から650点に引き上げ
- 1人の薬剤師が算定できる回数が「1日5回まで」に制限
今まで施設の訪問では患者を一括で対応しているケースが多く、「効率的」と判断されたため、質の高い在宅医療を提供していく観点から、制限が設けられるなどの改定が行われました。
施設療養者を対象に効率的に取り組んできた薬局は、居宅への積極的な進出など戦略の見直しが必要になると考えられます。
4.後発医薬品の促進
厚生労働省は、後発医薬品の数量シェアを2018年3月末までに60%以上にすると目標を掲げています。
後発医薬品調剤体制加算の見直し
- 前回: 「22%以上→5点」「30%以上→15 点」「35%以上→19点」
- 今回: 「55%以上→18点」「65%以上→22点」
2区分に整理され、点数が引き上げられました。
「一般名処方が行われた医薬品については、原則として後発医薬品が使用されるよう、患者に対して後発医薬品の有効性、安全性や品質について懇切丁寧に説明をし、後発医薬品を選択するように努める」と新たに規定され、後発医薬品を調剤しなかった場合は、調剤報酬明細書(レセプト)に理由も記載しなければならなくなりました。
平成26年1月に生活保護法も改正され、医師が不可とする医薬品以外は医療費削減のため基本的に後発医薬品で調剤するよう求められており、自治体により福祉事務所への報告なども必要になっています。
在庫が増えること、スペースの問題など様々な理由で後発医薬品の備蓄にあまり積極的でなかった薬局も、重い腰を上げ対応せざるを得ない状況になってきています。
5.病院との関わり
地域包括診療料
2014年度診療報酬改定の重点課題のひとつだった、「外来医療の機能分化・連携の推進」に関し、主治医機能を生かす「地域包括診療料」が新設されました。
算定要件として、院外処方を行う際には、薬局による服薬情報の一元管理が求められ、患者は受診時にお薬手帳を持参し、担当医もお薬手帳のコピーをカルテに貼るなどの必要があります。
さらに、病院での院外処方は「24時間開局している薬局」であること、診療所の場合は、院外処方を行う場合には、「24時間対応をしている薬局と連携していること」などが決められたため、病院側からも、薬局の24時間営業やお薬手帳の指導の徹底が求められています。
地域医療の中での「かかりつけ薬局」として、業務内容の充実を図ることが求められている中で、国の理想とする薬局体制を整え期待に応えることは、チャンスであり、大きなターニングポイントであると考えられます。
おわりに
24時間の処方せん応需体制、在宅医療や介護への積極的な参画、後発医薬品使用による医療費軽減への貢献、さらに予防や健康知識の啓蒙に努めることなど、薬局が果たすべき課題はたくさんあります。
自社の利益のみならず、地域での横の繋がりを強化し連携をはかっていく必要もあり、今後の改定内容にも柔軟に対応できる体制を整えていく必要があるでしょう。
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