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必要性の高い未承認薬について
日本国内で医薬品を販売するには、厚生労働大臣による製造・販売の承認が必要です。しかし、海外で承認されていて、日本では未承認となっている重要な薬剤も少なからず存在します。命に危険があり他に代替する治療手段がない場合、こうした未承認薬の供給・使用が公的に行われてきた事例があります。多くの場合、承認のためのデータ取得の目的の治験に患者として参加するという形で適用されています。
古くには熱帯病治療薬があります。海外に渡航する機会が増えるにつれ、熱帯病・寄生虫症にかかる日本人が増えました。これらの病気を研究するために、輸入した医薬品が治験薬の形で患者に無償供給されました。以前はマラリアが多かったですが、最近は赤痢アメーバ菌での使用が増加しているそうです。また現在同様の形で患者に無償で提供されているものに、エイズ治療薬があります。
小泉元首相の決断の結果、控訴を断念する事で国が全面敗訴となったハンセン病(らい病)訴訟は記憶に新しいところですが、その原因となった「らい予防法」は1996年に廃止されました。それまでは患者はハンセン病療養所に隔離されていて、ハンセン病治療薬もそこでしか使用できませんでした。現在はどの医療機関でも診療が可能となりました。また数種の薬剤が保険適用となり、臨床試験の資料なしの特例でハンセン病の効能追加が承認されました。
過去に胎児に対する毒性の副作用で市場撤去されたサリドマイドですが、近年多発性骨髄腫などの治療薬として大量に個人輸入されるようになりました。これらの実績を踏まえ、現在は医師であればある条件を満たせば外国から輸入して使用することが可能となりました。
このように様々な制約のもとで未承認薬が使用されていますが、未承認薬を人道的に供給システムとしてコンパッショネート・ユース(CU)という制度が世界的に行われています。前述の様に治療法がない生死に関わる病気の患者に対し、限られた条件下で未承認薬を供給する制度です。米国、欧州、韓国などではすでに採用されていますが、日本ではまだ検討段階です。
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