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まるめ医療(包括医療制度)
医療の領域における大きな課題のひとつに、医療費の削減があります。薬価差益により利益が生ずる仕組みのために「薬漬け医療」が発生し、投薬すればするほど、また検査すればするほど医療機関が儲かる構造が生まれました。これを是正する目的で導入されたのが、包括医療制度(DPC)です。まるめ医療と呼ばれる事もあります。
2003年に一般病棟の入院患者を対象に取り入れられはじめ、資料によれば2010年4月には約1300施設に導入されています。どんなに投薬しても検査をしても、医療機関が保険者に請求できる診療報酬の金額は病気の種類や入院日数などによってあらかじめ金額が決められている制度です。これにより一定の金額以上に、医療費が高騰しないという点がメリットとされています。
しかし、どんな高価な薬を使っても、また反対に廉価な薬を使っても、どんなに綿密な検査をしても、あるいは検査を省いたとしても、実際にかかった費用を上乗せして請求する事ができません。そのために、経営的に赤字を出さないために本当に必要な治療が為されない可能性もあるという指摘があります。それゆえに、この包括医療制度を疑問視する声も少なくありません。
このように問題点の多い制度ですが、取り入れる病院の数は増えているのが現状です。これには、政府が「医療費標準化」を推進している背景があるためと思われます。ジェネリック医薬品推進のように医薬品にかかる費用を抑えようとする動きもあり、医薬分業も医院の薬価差益を減らす目的で導入が推進されていると言え、「医療費の削減」という観点では、全体に抑えられている傾向にあり、その枠組みの中では包括医療制度も有効な制度にも思えます。しかし、長期入院が不可能となる事や、難病への治療には向かないなど改善すべき問題点も多く、今後も見直しが必要な制度であると私には思えます。
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