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面分業と点分業
医薬分業の業態が当たり前になった現在、次の段階として調剤薬局の在り方として点分業と面分業のどちらが適切かという議論が起こっています。
点分業とは主にひとつの医院からの処方せんを受ける事を指すのに対し、面分業とは医院を限定せず広い地域からの処方せんを受ける事を指します。では、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
点分業
メリット
調剤薬局側のメリットとしては、まずひとつの医院からの処方しか取り扱わないために、見慣れない処方が発生する事が少なく、在庫管理を比較的正確に行える事があげられます。これにより、調剤薬局の大きな問題である不良在庫(デッドストック)の発生も防ぐ事が容易となります。
また患者側のメリットとしては、薬の在庫が安定しているため品切れで入手できないという不便が少ない事や、安全管理や副作用などの知見や経験が蓄積されているので安定した服薬指導が受けられる事などがあります。
デメリット
調剤薬局側のデメリットとしては、いわゆる「門前薬局」であるため経営のほとんどの要素が医院に左右されてしまいます。したがって、医院が流行らないと経営も成り立たず、医師のうで次第で売上も左右されてしまいます。また、開業する場所も選べません。
患者側のデメリットとしては、総合病院など患者数の多い医院の門前に位置する場合がほとんどのため、多くの患者が押し寄せ待ち時間が長くなってしまう事などがあります。
面分業
メリット・デメリット共に点分業の逆となります。
メリット
調剤薬局側のメリットとしては、経営が特定の医院に左右される事はなく、売上も薬局の努力次第となります。面分業の場合、地域に密着したサービスを提供する事が重要になってきますので、固定客をつかんでおけば安定した経営が見込めます。
患者側のメリットとしては、自分の住んでいる地域に根ざしたいわゆる「かかりつけ薬局」となるため、薬歴管理や併用調剤に対する注意喚起などに対し有益な情報提供を期待する事ができます。
デメリット
調剤薬局側のデメリットとしては、不特定多数の医院からの処方せんが来るので、見慣れないものが来る可能性もあり、それにより在庫管理が安定せず不良在庫も発生しやすくなります。また処方せんの量も安定しないので、固定客ができるまでは売上が安定しません。
患者側のデメリットとしては、在庫が安定していないため特殊な薬であると入手が困難である事などがあります。
点分業と面分業のどちらがより適切か
一方で、点分業か面分業かという議論自体無意味であるという意見もあります。
現在厚生労働省は「かかりつけ薬局」推進のために、面分業を推し進める施策をとっているそうです。総合病院の門前には、大手薬局チェーンが開設する薬局が集中してしまいがちで、これはそのまま患者の誘導になってしまい調剤薬局の一点集中につながります。
これを避けるための面分業推進ですが、調剤薬局側は「かかりつけ薬局」実現のためには、むしろ医師の治療に密接な点分業を推し進めるべきという主張をしているそうで、現状ではまだどちらがより適切であるかは明確な結論には至っていないと言えます。
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