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医療事故で問われる記録の重要性
医療訴訟に発展した際にも記録は重要
薬剤師としてあってはならない医療事故ですが、人間ですのでミスを絶対に犯さないとは言い切れません。
しかし、近年、医療事故から訴訟へと発展するケースも増えています。
もちろん、医療事故を未然に防ぐ対策が重要ですが、同時に訴訟になった場合に重要なのが『正確な記録』です。正確な服薬指導記録こそが医療事故を未然に防ぐ上でも非常に重要となります。
たとえば、医師が「4mg」と記載すべきところを「4g」と記載し、薬剤師が過剰投与を招いた事故もあります。
医療訴訟へと発展した事故は、薬剤師の場合、医師ほど多くはありませんし、薬剤師による医療事故の多くはヒヤリハットで過失責任が明らかなため、訴訟には至らないケースがほとんどです。
処方医の入力ミス+薬剤師の記録ミス
2002年に起こった抗がん剤の誤投与事故では、薬剤師の薬剤管理指導の記録にも問題がありました。
この事故は非小細胞肺がんで入院していた当時60歳代の女性に、「タキソール」ではなく誤って「タキソテール」を投与し死亡させてしまったものです。
このケースは、投薬指示の段階で医師がコンピューター上で間違って「タキソテール」を選択してしまったという医師のミスではあります。
しかし、薬剤師の記録を確認したところ、「タキソテール」が誤投与されているにも関わらず、本来投与されるはずだった「タキソール」を投与していた旨が記載されていたのですから、薬剤師としての責任も問われて当然です。
この医療事故の詳細については、下記サイトを参考にしてみてください。
●医療安全推進者ネットワーク『遺族の訴えで究明された医療事故に潜む組織の問題点』
http://www.medsafe.net/contents/recent/65izumisano.html
病院薬剤師への正確な引継ぎにも重要な『記録』
薬剤師として当たり前のことですが、
- 処方箋に疑いがある際は、速やかに処方医に疑義照会する
- 調剤する際は、必ず処方剤とラベルを照合確認する
そして、疑義照会したこと、その内容もキチンと記録すること。また服薬指導の際、薬剤師として患者さんの微妙な変化ややり取りを記録することも大切です。
たとえば、通院のみの患者さんの場合、薬剤師がアレルギー歴や副作用の記録などをはじめ、キチンと記録・管理することで、その患者さんが万一入院となった際にも、速やかに、そして正確に病院薬剤師に引継ぎができますし、医療事故を未然に防ぐことにもつながるはずです。
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