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注意が必要な処方箋
医師の処方箋に必ずしもミスがないとは限らず、こうしたミスを未然に防ぐのも薬剤師の重要な役割です。
薬剤師法第24条には、「その疑わしい点を確かめた後でなければこれによって調剤してはならない」とあります。ミスを未然に防ぐためにも、「これって変だわ」と感じたら、薬剤師は医師に疑義照会をしなければなりません。
薬剤師の中には、「医師のほうが自分より立場が上なので疑義照会しにくい・・・」などという人もいます。でも、疑義照会をしなかったばかりに、患者さんが命を落としてしまうケースだってあり得るのですから、薬剤師にとっての疑義照会は重要な仕事です。
では、実際に疑義照会がどの程度行われているのでしょうか。
疑義照会の実態
「弘前市救急診療所の処方箋における疑義照会の傾向と分析」によれば、1年間で受けた救急診療所からの処方箋703枚のうち、疑義照会を行ったのは141枚となり、その割合は20%にもなっています。
最も多かった照会内容は「処方箋の記載漏れや判読不能に伴う照会」で、処方箋を書いた医師の悪筆による「規格不明」や「服用時点・間隔の不明」です。
では、このように処方箋が読みづらい以外には、どのような点に注意が必要なのでしょう。
事例1
睡眠薬の処方箋を持参した女子学生のケースでは、自費扱いであるためオリジナル様式の処方箋を受け取った薬剤師は、調剤年月日もないことから処方箋の改ざんや偽造を疑い、薬を渡しませんでした。
ただし、このケースでは疑義照会をせずに調剤を拒否したため、本来ならば薬剤師法第24条に違反したこととなります。
事例2
ある薬剤師は、小さな子どもに処方されたプレドニンの量が多いと感じ疑義照会したところ処方医がつかまらなかったため、とりあえず薬を渡さずに患者さんを帰してしまったそうです。
しかし、その日の夜中に薬をもらえなかった子どもは、喘息発作を起こして緊急入院となりました。
その子は難治性の気管支喘息だったため、医師は発作時の頓用としてプレドニンを多めに出すよう処方箋を書いていたわけです。
事例3
処方箋に問題があったケースとして、保湿を必要とするアトピー性皮膚炎(アトピー)の患者さんへの外用薬の処方事例があります。
アトピーは長期に渡り治療が必要で、毎回「マイアロン軟膏」に「パスタロンソフト」の混合を指示する処方箋が出されていました。しかし、軟膏とクリームは混ぜることで品質や効果に変化が起こりやすく、マイアロン軟膏は作用が一番強いステロイドなので長期となると副作用も心配です。
さらに、こうした混合剤を大量予製した場合、本来ならば160円しか加算ができないはずなのに、毎回計量混合加算として800円を患者さんに請求していたとしたら、明らかに詐欺行為に等しい不正請求となる可能性があります。
処方箋に書かれた用法・用量や組み合わせに間違いはないかの確認だけでなく、こうした不正請求をキャッチするのも薬剤師の重要な仕事のひとつだといえます。
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