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医療過誤を起こした人へのフォロー
医療過誤とは、厚生労働省「リスクマネージメントマニュアル作成指針」によれば「医療事故の一類型であって、医療従事者が、医療の遂行において、医療的準則に違反して患者に被害を発生させた行為」と定義しています。
医療過誤には以下のような様々な形態があります。
- 診断ミス
- 検査ミス
- 手術の失敗
- 全身管理の不全
- 投薬量の間違い
- 薬の副作用
- 看護ミス
など
つまり、医療過誤は事故発生を予見できた可能性や結果、回避できた可能性があるにもかかわらず、医師や看護師などの医療従事者側の過失により起こってしまった医療事故ということになります。
以前、陣痛促進剤の使用方法を誤ったことで、胎児に重大な後遺障害を負わせたとして1億3477万円の賠償金支払い命令が下された事例があります。医療事故は防げないとしても、医療過誤は薬剤師を含めた医療従事者の業務に対する真摯な姿勢により限りなくゼロに近づけることは可能なはずです。
ただし、医師や看護師などの人手不足により激務が重なっての過労による医療過誤だとしたら、一概に当事者だけの責任を問うことはできないでしょう。こうした医療過誤を含む医療事故を起こした当事者のフォローについて、真実説明・謝罪普及プロジェクトの『「医療事故:真実説明・謝罪運動の普及に向けて~賛同者の集い」における共同宣言』には以下のように書かれています。
・事故に巻き込まれた医療従事者への支援を提供するプログラムをつくりましょう。
・いろいろな要望に沿う多様な支援サービスを提供しましょう。
・必要に応じて、医療従事者の職務遂行能力に見合った適切な職場の提供や休暇の取得を促しましょう。
・系統立てられた事故の報告や記録手順を整備しましょう。
・患者さんやご家族とコミュニケーションをとることを、医療従事者に促しましょう。
・ピア・レビュー(同業者相互評価)、医療品質保証改善活動(QA/QI)、根本原因分析(RCA)の手順を医療従事者に教育しましょう。
しかし、その一方である病院の医療安全管理指針では、医療事故に関与した職員への対応として当事者へのサポートに務めるとしながらも、「直接患者、家族に接する事を出来るだけさせない」としている点は、上記の共同宣言と異なります。さらに、同管理指針では医療過誤が疑われた場合の対応として以下のように指導しています。
【医療過誤を疑われた場合の対応】
- 上司に報告・相談の上、書式をもって病院(病院長、医療事故防止委員長、医療安全管理室、専従リスクマネージャー)に報告する。
- 初期の段階から誠意を持って対応する。
- カルテには事実を詳記する。記録内容を変更する場合には、変更前の記載が判るように2本線を引いて、新たな事実を記載する。決してカルテの改ざんを心懸けてはならない。
- 紛争が前提の場合には、個人で交渉・説明をしない。
- カルテの開示又はコピーの請求に対しては、手順に則って対処する。
- 家族、患者による「医療安全マニュアル、医療安全管理指針」の閲覧の請求に対しては、カルテ開示の手順と同等に対処する。また、同規程は病院ホームページにおいて一般公開する。
- 証拠保全の請求に対しては、応じる。
いずれにせよ、医療過誤を起こした当事者へのフォローとして大切なのは、勤務の調整や精神的サポートにプラスして、当事者が当事者であることに主体的に向き合うことではないでしょうか。
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