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調剤ミス・医療過誤訴訟(2)

調剤ミス・医療過誤訴訟(2)薬剤師も人間ですからミスはあり得ます。しかし、ミスの内容によっては患者さんの命にかかわるだけに、本来はミスが許されない仕事でもあります。

2004年4月に厚生労働省が公表した全国82の特定機能病院(大学の付属病院など高度な医療技術を持つ病床数500床以上の医療機関)の医療事故は、約2年間で15,000件にものぼったそうです。

そのうち、387件は死亡や重体などの重篤状態でした。この件数が多いか少ないかは別として、この数字は自己申告ですので、実際にはもっと多くの医療事故が発生しているはずです。

では、重篤に至るのはどのような調剤ケースが多いのでしょうか。「不可逆・重篤」な障害を起こす可能性がある薬品には、糖尿病薬睡眠薬喘息薬心臓薬があります。

事例

事例1)
心臓病で入院中の4カ月の女児に、主治医が内服用に強心剤の処方せんを作成した際、本来の適量「0.05ミリグラム」を「0.5ミリグラム」と記載。

指示された薬剤師看護婦も誤りを見逃し、過剰投与が計10回も続き、ジゴキシンの中毒症状である吐き気などが表れ、それにも病院側は気付かず一時は心臓停止状態にまで容体が悪化。

別の医師が投薬ミスに気付き、女児は一命を取り止めました。
事例2)
高血圧症で通院中の患者に、血管代謝改善剤「エラスチーム」を処方するところ、誤って血糖降下剤「オイグルコン」医師が処方。

薬剤師は処方箋どおりに調剤。
患者も指示どおり1日6錠服用。血糖値の低下が引き金となり心不全の発作を起こし植物人間状態に。

治療費を除き4,700万円を支払い和解が成立
事例3)
35歳の妊婦増血剤「フェルムカプセル」の代わりに、院内薬局の薬剤師が間違って消炎鎮痛剤「フルカムカプセル」を渡し、妊婦は約2週間、1日1錠服用。

里帰りの際、別の病院で診察を受けたところ薬の間違いが判明。この薬の影響で羊水が異常に減少し約1カ月入院。

県立病院であったため、ミスを認めた県は妊婦に慰謝料など約266万円を支払い示談が成立

事例の考察

事例1は医師のミスではありますが、処方箋を見たはずの薬剤師も誤りに気付きませんでした。事例3は薬品名が似ていたために起きた薬剤師の初歩的ミスです。どちらも細心の注意を払っていれば防げたミスでした。

事例2については、薬剤師は処方箋どおりに調剤し、交付の過程で2度のチェックをしているものの、オイグルコンの投与量1日6錠が通常量を超えていることに疑問を持ち疑義照会していれば、未然に防ぐことができたはずです。

薬剤師では防げないミスもありますが、薬剤師だからこそ防げるミスもあるはずです。
薬剤師たるもの、“患者さんの命を預かる重要な仕事”だということを日々自覚し気を引き締め、調剤ミスを1件でも少なくできるよう職務に従事していきたいものです。

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