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【第2回 後編】 ビーチテニス事業普及法人『濱庭球株式会社』代表 小嶋夕希子さん

こじゆきと関わって、
健康で幸せ=健幸になった
と言ってもらうのが、私の人生のミッション

 

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薬剤師である小嶋さんのもうひとつの貌(かお)が、ビーチテニス普及のための活動です。しかし、日本ではまだマイナーなスポーツゆえに、意気込みはあっても思うように進まない焦れったさも味わうことに。大きな壁にぶつかっても、あきらめない強さをどこで得ているのか。現在の活動状況を含めてうかがいました。

※ 小嶋夕希子さんへのインタビュー【前編】はこちらからご覧いただけます

 

新しいスポーツの普及は、新しい文化の創造。とてもわくわくする夢です。

 

ーここからはもう少し、薬剤師以外の活動についてうかがっていきたいと思います。ビーチテニスの面白さに目覚めて事業化されたわけですが、このスポーツの魅力は何でしょうか。

 

やはり、コミュニケーション豊かに楽しめるスポーツだということです。

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写真:http://smashbeach.com/contents/album/

老若男女の幅広い世代でプレーでき、最近はキッズの参加も増えてきました。いまビーチテニス愛好者は2000人くらいでしょうか。

砂浜で裸足でプレーするので、指で砂をつかんで走る感覚が本当に気持ちいいんです。

近年、現代人、とりわけ子どもたちの足指機能の低下や扁平足が問題になっていますが、そうした機能回復にもいい効果が期待できます。

 

ー好きなことでも、仕事にするのは簡単ではありませんよね。「趣味で終わらせない」ほど燃えることができているのは、なぜでしょうか。

 

私は、スポーツは文化だと思っているんですね。

ですから、もし、いままで日本になかったスポーツを流行らせて、それが定着し、みんなが広く楽しむようになったら、すなわち新しいカルチャーを根付かせたことになるわけです。

そう考えると、すごい挑戦だなとわくわくします。

 

ーなるほど、確かに壮大ですね。そんな中で、活動の壁を感じるのはどんなときですか。

 

面白そうだと始めたものの、越えるべき壁がかなり多いとは感じています。

目下の課題は、コートの確保ですね。

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日本では、ビーチの管理が各行政によってガチガチに固められていて、簡単に使えない状況にあります。

事業をスタートさせて4年めになりますが、都会の便利な場所でやりたくても抽選待ちだとか、思い立ったらすぐにやれる環境をなかなか用意できないのがジレンマです。

ビーチテニスはシーズンスポーツだというところも、事業として成立させる上で難しい点ですね。

 

実は日本にはいろんなスタイルのテニスがあって、中でも最近は「パデルテニス」の人気が高まってきました。インドアスポーツなので、オールシーズンのプレーが可能。大きな遊技場を建設予定だとも聞いています。

ビーチテニスはそれに比べるとやや立ち後れているのですが、それを知って、逆に私はもっとビーチテニスを普及させたいと情熱が再燃しました(笑)

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写真:http://smashbeach.com/contents/album/

法人の社員は私一人ですが、プロジェクトに関わる仲間がいて、みんなでムーブメントを起こそうとがんばっているところです。

 

ーたくさんのミッションをクリアしてきた小嶋さんですが、ご自身の経験を通して、目標なり夢なりを達成するときに不可欠なものは何だと思いますか。

 

いつも思うんですけれど、人の意志ってめちゃくちゃ弱いですよね。

私も、ある日ふと行政書士になろうと30万くらいの教材を取り寄せて勉強しようとしたことがあるんです。でもそれは単なる思いつきなので、1週間くらいであえなくギブアップ。

やはり、心の底から湧き上がるような本気の熱がないと、困難を乗り越えたりできないのではないでしょうか。

私の場合は、「自分と関わった人たちには、その本人にも家族にも幸せになってもらいたい」というのが何にも替えがたい望みなんです。

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大切なのは「こうしよう」という自分の意志より、「○○のためにこうありたい」という大きな願い。

私も、たとえば母のためにとか、そういう思いを自覚したときに、本当に力が湧いてくるのを感じたように思います。

 

ーこうしてお話をうかがってきて、小嶋さんが乗り越えてきた困難のハードさにあらためて驚かされますが、小嶋さん自身が人生最大のピンチだと思ったのはいつですか。

 

これまで生きてきていちばん苦しかったのは、やはり母を亡くす前後だったと思います。

乳がんが脳に転移して、開頭手術をし、その影響なのか、母は私のこともわからなくなりました。

夜、アルバイトから帰って家に入ると、「どろぼう!」と呼ばれたり。それ以外にもショックな出来事がいろいろあって、私は結局、母を最期まで介護をすることができませんでした。

介護放棄したという後悔と、それでも支えだった母という存在がこの世からいなくなった空虚感。自責の念が深すぎて、すごく情緒不安定になりました。さらに体調を崩し、救急車で運ばれたこともあります。

手を差し伸べてくれる人もいたのかもしれませんが、渦中にいるときはすごく視野が狭かったんだと思います。病院や行政の対応にも失望し、孤立していました。

ただ、いま思えば、あのころの私はまだ二十歳そこそこで、無力で、絶望的な気持ちになるのも無理なかったなあと。

大人になってやっと「あんな状況が一生続くわけはない。あそこまで落ち込まなくてよかったんだ」と俯瞰できるようになりました。

 

そんな私をすごく力づけてくれた言葉があるんです。

大好きな起業家さんで、少し先輩なんですけれど、起業家支援や人材育成をする株式会社LISE(ライズ)の代表をしていらっしゃる吉川聖弓(よしかわまさみ)さんから教わった、

「死ぬこと以外、かすり傷」

このひとことにぐっときて、最近よく思い出します。

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吉川さん自身がすごく輝いていて、お話していると、私も背中押される感じがします。

 

ー最後に、今後のビジョンをお聞かせください。

 

いまの生活のサイクルは、平日の昼間は、フリーの薬剤師として契約しているいくつかの調剤薬局に勤務し、朝や夜にスポーツ事業やこれからのビジネスのための打ち合わせなどで人に会います。

実現できていない部分もありますが、土日はなるべく家族と過ごすようにしています。

2年以内に調剤薬局を自分で開業しようと思っているので、それに向けて、いま経験を積んでいる段階です。

最初から、自分で薬局を開こうと考えていたわけではないのですが、私自身がかつて働いていた薬局での経験などから、患者さんの健康と幸せのために、薬局はどうあるべきかを考え直したんですね。

もちろん薬剤師さんたちや事務のスタッフさんたちなど、薬局で働く人たちにとっても幸せな職場が必要だと思ったんですね。また、スポーツは人生を豊かにするものだと思うので、ビーチテニスの認知度向上にもますます力を入れていきたいです。

思えば、自分の父も母もそんなに人生を楽しんでいたように見えなかったですね。親戚ともほぼ絶縁状態だったので、保証人がいなくてアパートも借りられない、住むところをどうしようなんてときもありました。

私自身、夫と出会うまで本当に孤独で、寂しくて、なんでこんなに生きにくいんだろうと考えてばかりだったのに、いまは「人生って自分次第で面白おかしくもできるんだな」と顔を上げられるようになったんです。

それは、夫や夫の家族、親戚、そして私の友人やお世話になっている人たちのおかげ。

なので私も、「こじゆきと関わったことで、健康で幸せに過ごせている。健幸な人生だ」と言ってもらいたいんです。

それこそが、最終的な自分のミッションだと思っています。

 

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プロフィール

薬剤師。濱庭球株式会社代表取締役。13歳で父と死別し、母子家庭で育つ。19歳のときに乳がんになった母の介護のために、大学を中退。アルバイトと看病に孤軍奮闘するが、その母とも21歳のときに死別。株のトレードや不動産投資で生活費と学費を捻出し、大学の薬学部にあらためて入学を果たす。大学在学中に、現在の夫や友人らとビーチテニスのオンラインショップ「SMASH BEACH」を立ちあげ、その後、ビーチテニス事業の普及を目指して法人化。「濱庭球株式会社」を設立する。

法人活動内容

現在は、オンラインでビーチテニス用品の輸入販売、ビーチテニスやビーチバレーの選手のサポート、それらのスポーツイベント企画開催などを手がける。今後は、これまでにないコンセプトの薬局の開設など、ココロとカラダに効く事業を行う予定。また、サプリメントの販売やストレスマネジメントのカウンセリングといったビジネスプランも企画中。

 

※ 第2回 小嶋夕希子さん【前編】はこちらからご覧いただけます。

 

ファーマシストライフ編集部 (取材・文/三浦天紗子、写真/岡本あゆみ)

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管理人について

現役薬剤師・エリコ

都内の調剤薬局に勤務中。

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