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薬剤師の仕事は、本当につまらないのか?
毎日単調な仕事の繰り返し。
自分の仕事に対する意義・やりがいを見い出せず、おもしろいと思えない…
そんな思いを抱えながら仕事を続けている薬剤師さんは意外と多いのではないでしょうか。
そこで今回は、特に薬局や病院で働く薬剤師さんに、薬剤師がイキイキと楽しく仕事をするための方法をお伝えします。
目次
なぜ、薬剤師の仕事がつまらなくなってしまったのか。その理由とは?
薬学部を卒業して就職したばかりのころは、すべての仕事が目新しく、苦労をしながらも楽しく取り組んでいたはずです。
それにもかかわらず、「最近は1日の勤務時間が早く終わらないかということばかり考えて仕事をしている…」なんてことがあるかもしれません。
一体、なぜ薬剤師の仕事をつまらないと感じるようになってしまったのでしょうか。
つまらないと感じてしまう理由は色々あると思います。
それが仕事内容にある場合、
- 仕事が単調である
- 「薬のプロ」としてのやりがいが感じられない
- 薬剤師の地位が低い
- 忙しい割に給料が安い
こういった話をよく聞きます。
調剤薬局、調剤併設ドラッグストア、病院で働く薬剤師のエピソードをもとに、これらの理由について考えてみましょう。
理由その1:仕事が単調である
「仕事がとにかく単調で、なんだか、自分が調剤マシーンにでもなったように感じるときがある」というAさん。
大学病院の門前で毎日数百枚の処方箋を受けている薬局でパート勤務をしています。
来る日も来る日も、ひたすら「精確に」「1秒でも1分でも早く」調剤・監査・投薬することだけを社員から求められてきました。
「おかげで、ほとんどミスすることなく素早く仕事をこなすスキルは身についたけど、毎日8時間、月曜から金曜までこの繰り返しっていうのはつらい」とAさんは言います。
理由その2:「薬のプロ」としてのやりがいが感じられない
「薬のプロとして、薬剤師の仕事の本領を発揮しようとするのだけれど、患者さんも医師も、ちゃんと話を聞いてくれないんですよね」
そう漏らすのは、クリニックビルにある調剤併設のドラッグストアに勤務するBさん。
患者さんからは、「先生に一緒に飲んでる薬のこととか、症状については話してあります。急いでいるので、早く薬をもらえませんか!?」
また、あるクリニックの医師からは、「この薬については私の方から患者さんによく話してあるから、薬局さんで余計なことを言わないでくださいね。服薬拒否されると困るので」と薬局に申し入れが。
このクリニックの処方箋を持ってきた患者さんには服薬指導らしい服薬指導は出来ずにいるそうです。
Bさんは、「多職種連携とか、チーム医療とか言われるようになって、どの職種も対等に意見を交わし合えるようになりつつあるけど、やっぱりまだまだ医師をトップにしたピラミッド型の体制は根強いですよね」と考えているようです。
理由その3:薬剤師の地位が低い
「一度、薬事委員会で採用になって準備をすすめていた薬が、医師の一声で変更になった」と病院に勤務するCさんは言います。
貼付と舌下の剤形のある薬の採用について、患者さんや看護師さんの使い勝手を考えて貼付剤で決めて、委員会でも通っていたのに、「どうして私の使いたい舌下の方を採用しないんだ!」と医師から薬剤部に怒りの電話が…
それをきっかけに、貼付剤から舌下錠へと採用が変更。
その後、看護師さんからは「使いづらい。貼付剤って言ってたのに、どうして舌下錠にしたの!?」と文句を言われ、板挟みの状況になってしまったようです。
理由その4:忙しい割に給料が安い
「勤続年数が増すにつれ、忙しさと責任が増すわりには、給料のアップは少なくて…だんだんとやりがいやモチベーションが下がってきますね」病院勤務5年目のDさんはそう漏らします。
忙しい職場で、当直をした翌日も夕方5時まで勤務することも。さらに、育休・産休で辞めてしまった職員の補充がなかなか行われず、そのフォローに追われる日々。
しかし、病院内の会議や多職種のカンファレンスなどに参加することを求められるようになり…
「昇進できるポストがないのに、忙しさと責任は増すばかり。何のために働いているのか、分からなくなりそうですよ」とDさん。
確かに、こういったことが続くと仕事がつまらなくなり、どうにもやる気が起きないということになってしまいますよね。
しかし、「薬剤師の仕事をしていて良かった!」と感じることもあるのではないでしょうか。
やっぱり、薬剤師の仕事って素晴らしい!エピソード
「薬剤師の仕事って素晴らしい!」と感じた薬剤師のエピソードをいくつか紹介しましょう。
調剤薬局で働く Eさんのエピソード
在宅で末期がんの緩和医療をしている患者さん(70代男性)がいました。
最期は自宅で…と希望していたため、その方は入院せず奥さんと二人暮らし。
服薬の管理が難しいということから、まずは一包化でお薬をお渡ししてみました。
それでも頓服の麻薬や下剤などの使い方が分からなくなってしまうことがあるとのこと。
奥さんとお話をしながら、間違いなく、そして分かりやすい”オリジナルのお薬カレンダー”を考案し、1週間分ずつ作ってお渡しすることにしました。
そのおかげで、飲み忘れや頓服の仕方を間違うことなくお薬を飲めるようになり、問題は無事に解決。
それから2カ月後…奥さんが薬局を訪れ、
薬局の皆さまには、お薬の一包化やセットのことでお世話になりました。
あんな風に安らかな顔で逝けたのも、薬剤師さんたちのおかげです。
本当にありがとうございました」
このようにおっしゃってくださいました。
わずか2カ月間しかその患者さんとの関わりはありませんでしたが、自宅でご主人の看病をする奥さんの不安な気持ちに寄り添い、どのようにしたらお薬を正しく飲めるのかを一緒に考えたりと、密な時間を過ごすことで、私たち薬剤師も患者さんから多くのことを教わりました。
私にできたことは、ほんの些細なことだったと思います。
それでも、患者さんとそのご家族が納得のいく最期によい形で関われたことに、薬剤師としてのやりがいを感じました。
病院薬剤師として働く Fさんのエピソード
以前は時間をかけた服薬指導をして患者さんと密接に関わり、自分なりに「患者さんのためにどうしたらいいか」と考えながら仕事をしていました。
しかし最近は忙しくて患者さんに親身に向き合うことができず、なんとなく仕事がつまらなく感じていました。
ある日上司にそのことを話すと、
と指摘されました。
たしかに、患者さんに向き合うというより、いかに早く病棟業務を終わらせるかということばかり考えて仕事をしていたことに気づかされました。
そんな私に上司はこう続けます。
自分が誰よりも、その患者さんに詳しくなるという気持ちで患者さんをフォローする。“この患者さんのことはなんでも自分に聞いて!”と胸をはって言えるくらいにね。
そうやって一度、とことん向き合ってみると、患者さんから得られる気づきや学びが増えるはず。
すると、また仕事が楽しくなってくるんじゃないかな」
上司にこのアドバイスをもらったおかげで、私は初心に立ち戻ることができました。
その後は患者さんとの関係も前よりうまく築けるようになりました。もちろん、今は仕事が楽しいです。
薬剤師の仕事を楽しくするための方法
薬局勤務の場合でも、病院勤務の場合でも、仕事を楽しくするために自分でできることは共通しています。
1. 患者さんやその家族にしっかり向き合う
薬局、病院いずれの場合も、日々の仕事は、ほぼルーチン化されていることが多いですよね。
そのなかで変化していくことは、定期的に顔を合わせる患者さんの様子ではないでしょうか。
ならば、さきほど紹介した薬局勤務のEさんや、病院勤務のFさんのように、一度患者さんにとことん向き合ってみませんか。
もちろん、すべての患者さんにじっくり向き合うことは、時間的にもキャパシティ的にも難しい場合があると思います。
「なんか、あの患者さんのこと気になるな……」と感じる患者さん1人からでも良いと思います。
患者さんとの信頼関係が深まるにつれて、それまで見えなかった患者背景が見えてきて、新たなアドバイスができるようになります。
そうすれば、患者さん自身から相談を持ちかけられることも自然と増えてくるはずです。
こうして患者さんの“かかりつけ薬剤師”になれば、やりがいも湧いてきて、仕事の楽しさが増していくのではないでしょうか。
2. 心に響く助言をくれる指導者をもつ
Fさんのエピソードにあったように、自分が迷ったり立ち止まったりしたときにアドバイスをくれる指導者(メンター)のような人がいると、仕事に対する目標ができ、モチベーションがあがります。
もし職場で見つけられない場合は、職場の外でも見つけることができますので、あきらめないでください。
例えば、薬剤師向けのセミナー、講演会、学会などに行くと、かつて自分と同じ悩みをもちながらも、その課題に挑んで解決してきた薬剤師に出会えることが多くあります。
しかし、自分でこのような努力をしてみても、現状を打破することが難しい場合がなかにはあります。
そのときには、転職をして新しい職場や職種に挑戦し、環境を変えてみることも一つの方法です。
思い切って転職したら、仕事が楽しくなった!薬剤師のエピソード
転職して環境を変えたら、本当に仕事は楽しくなるのでしょうか。
転職に成功した2人のエピソードをご紹介します。
1.【病院から調剤薬局へ転職した】Gさんのエピソード
プライベートとのメリハリがついて仕事が楽しくなった
もといた病院の薬剤部には5人しか薬剤師がいません。
当直は、週に1回ならまだしも、週2回こなさなければならいこともしょっちゅう。
休みの日や終業後に出かける余裕がないほど、毎日へとへとに疲れていました。
このままではいけないと考え、思い切って調剤薬局に転職することに。
はじめは、次から次へ途切れることなく患者さんが訪れる外来調剤の忙しさに戸惑いました。
しかし1日のうちで忙しい時間帯は限られています。
リズムが分かってくると、次第にうまく対処できるようになりました。
それに、当直がなくなったことで気持ちにも体力にも余裕が出てきて、プライベートの時間を充実させることができるようになりました。
「仕事とプライベートのメリハリがついたので、仕事にも意欲的に取り組めるようになりました。ずっと通いたかったヨガ教室にも通えるようになったし、転職して仕事もプライベートも充実し、本当に楽しくなりました。」
2. 【調剤薬局からハーブ・アロマを扱う薬局へ転職】Hさんのエピソード
専門知識を活かして働けるようになった
ハーブやアロマセラピーの分野の認定試験をパスし資格を持っていました。
その知識を活かしたいと考えていたところ、ハーブやアロマを扱う調剤薬局を見つけて転職を決意しました。
その薬局には、以前は専門知識のある薬剤師がいたそうですが退職してしまい、現在はハーブやアロマに詳しいスタッフが不在の状態でした。
そして、私が入局して間もなくのこと。
患者さんにハーブやアロマを勧めているところに、様子をみていた同僚たちから「自分たちにも教えて欲しい!」というリクエストがあり、薬局内で勉強会をするようになりました。
さらには、その取組みが本社に伝わり、店舗に置く商品の選択や管理も任されるように。
「薬局を訪れる患者層や季節にあわせた商品選びができるようになり、責任を感じると同時に、今までにないやりがいを感じています。それに、これらの新しい商品の導入に合わせて、講師として同僚たちとの勉強会を開催するのも楽しいです。」
やりがいを感じながら働けそうな薬剤師 求人をチェック!
1. カフェ併設のおしゃれな調剤薬局(東京都杉並区)
アロマやハーブの取扱いのある薬局なので、それらの資格や知識を活かしたい薬剤師さんにオススメです。
※参照:薬キャリ
2. 無菌調剤室のある調剤薬局(東京都立川市)
こちらは在宅医療に力を入れており、無菌調剤室も完備している薬局。
在宅医療を実践している薬局は多いですが、無菌調剤室での業務にも挑戦できる薬局は稀少ですよね。
※参照: マイナビ薬剤師
3. 東洋医学に力を入れている調剤薬局(東京都台東区)
漢方の相談・販売に挑戦できる調剤薬局です。駅チカなので、通勤にも便利!
※参照: ジョブデポ薬剤師
おわりに
薬剤師の仕事を楽しくするための方法、楽しく仕事に取り組める職場についてご紹介しました。
転職を考える際には、できるだけ多くの情報を集め、選択肢を多くしておくことが大切です。
楽しく働ける職場の情報収集は一人では難しい…という薬剤師さんは、求人サイトを利用したり、転職を支援してくれる会社のコンサルタントさんの意見を聞いたりすると良いでしょう。
「求人サイトって一体どこを選べばいいの?」という薬剤師さんには、評判が良く人気が高いサイトを比較した『薬剤師の転職サイトランキング 利用者が選ぶ人気転職サイトベスト5』もオススメです。
転職経験者からのアンケート結果をもとに、薬剤師の転職傾向を数値化・視覚化もしていますので、ぜひ読んでみてください。
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