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調剤薬局淘汰の時代 -生き残る調剤薬局の見分け方-

1990年代から国が推進した医薬分業により、調剤薬局が急増しました。

しかし、人口1億2700万人に対し、薬局は約5.4万軒。5万軒といわれるコンビニエンスストアを超える数は、かなり多いと言えるでしょう。

高齢化社会を背景に、在宅医療への薬剤師の積極的な介入も求められています。便利な調剤併設のドラッグストアの台頭や、OTCのネット販売・コンビニエンスストアでの取り扱いなど、時代の流れにより、薬局を取り巻く環境はかなり厳しくなってきています。

医療費削減の流れから、調剤報酬の引き下げや薬価差縮小、消費税増税などで、1人薬剤師の薬局やクリニックなどの小規模門前薬局は大打撃を受けていることでしょう。

それでは、今の時代に生き残る調剤薬局になるには、どのような対応が必要になってくるのでしょうか?

在宅医療への対応

高齢化社会に対応しなければならない医療に求められているのは、在宅医療への取り組みです。

在宅は、入院、外来に続く医療提供の場であり、訪問薬剤管理指導の役割は大きく、薬剤師の活躍が期待されています。しかし、在宅訪問指導を行っている薬局は、まだまだ少ないのが現状です。人員の確保、設備投資などがネックになっている企業も多いでしょう。

ですが、在宅医療を必要とする人はどんどん増えていきます。経験や実績があり、慣れた薬局にお願いしたいというのも患者心理として考えられますので、早急な取り組みが求められます。

理想は、処方せんを持ち込んでいた患者が入院した際に、病院での退院時カンファレンスに参加して、退院後、在宅療養のサポートができるような体制を整えていくことでしょう。

チーム医療や患者家族との関わりでは、高いコミュニケーション能力が求められます。
在宅医療への取り組みに力を入れるなら、コミュニケーション能力を磨く対策や、信頼関係を築ける人間力を兼ね備えた人材を確保する必要もあると言えます。

患者ニーズへの対応

患者ニーズへの対応力を強化する努力も欠かせません。

処方せん応需においては、国が推進する一般名処方、ジェネリック医薬品調剤への対応もスムーズに行えなければいけません。2000品目以上の医薬品を備蓄するということは、チェーン化による薬剤の仕入れコストの引き下げや不動在庫を減らす仕組み作りに対応していかないと経営的に厳しいでしょう。

調剤専門で、OTC薬を置いていなかったり、品目が限られている店舗も多く見受けられます。しかし、処方せん以外の来店理由がないと、品数の多いドラッグストアなどに客は流れてしまいます。在宅に関わるなら、介護用品を揃えていることも必要とされるでしょう。

また、休日、夜間を含め、営業時間が長いこともニーズに応えるための対策のひとつです。
24時間開局は、平成26年度の調剤報酬改定でも求められているポイントです。

患者は、具合が悪い時は尚更、近くて慣れている薬局でスムーズに対応してもらいたいと思っていることでしょう。薬局としても、24時間開局は、加算のポイントでもありますから、前向きに取り組みを考えた方が良さそうです。

かかりつけ薬局としての対応

アメリカで薬剤師が「信頼される職業」として上位に選ばれているのは、高度な知識よりも、身近にいて、いつでも気軽に親切に相談にのってくれる存在であることが大きいと言えます。

「薬の専門家」ではなく、「健康の専門家」になれるかが鍵であり、地域の住民の健康や病気の予防に関して、総合的なフォローができる存在としての働きが求められてきています。

最近では、血液検査を行い、早期受診を勧めたり、アドバイスを行う取り組みも増えつつあります。また、健康フェアなどを開催し、講義や啓蒙活動に力を入れている薬局もあります。カフェを併設したり、食に関わる勉強会を開いているところもあります。

サプリメントなどを取り入れる人も増えていますので、薬局も商品として取り揃えることや、薬との飲み合わせへの相談対応など、幅広く対応できる体制が必要です。

処方せんを持ってくる患者だけでなく、健康な人が今の健康を維持するための情報を提供できる場であることが、地域医療を支えるかかりつけ薬局に求められています。

おわりに

薬剤師一人では、調剤の他に、OTC販売や健康相談なども対応しきれません。
小規模な薬局では、地域店舗の統合や共同経営なども検討していかないと辛いでしょう。

M&A(企業の合併、買収)などで、先行きに見切りをつけて、経営体力のある中堅〜大手の調剤薬局やドラッグストアに経営を委ねるケースも目立ってきています。
今までの業務の繰り返しでは、淘汰される薬局にカウントされてしまうということでしょう。

これからは、時代の流れにのり、積極的にニーズを掴みにいく成長意欲のある薬局や、独自のアイデアで周りと差別化を図り、強みをアピールしていける薬局こそが生き残っていけるのではないでしょうか。

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