独立を考える薬剤師が知っておくべき、薬局の閉店時のリスクって？

当サイトに寄せられた、薬剤師のお悩みに詳しく回答！

今回は薬局経営についてのお悩みです。

開局時と同じくらい、閉店時にも手間とお金がかかります

たしかに開局時に、知っておいたほうが良いのが閉店をした際のリスクだよね。

閉店時に大変なこととしては、従業員・不動産関連、許認可等の手続き、医薬品の在庫問題などがあるよ。

知り合いの方も、そういった点で、急遽閉店が決まって、とても苦労されていたんじゃないかな。

薬局を新しく開局するときに手間とお金がかかるというのは誰もが持っているイメージだよね。

※薬局開局については「独立は本当にプラス？気になる調剤薬局経営者の年収」をみてね！

実は薬局を閉店するときも、ただ閉めれば良いというわけではなく、手間とお金がかかるんだよね。

独立を考えるなら、たしかに、そのことも予め知っておいたほうがいいよね。

それでは、やむを得ず薬局を閉めなければならなくなったときに準備することを４つに分けて説明するよ。

1. 従業員について

雇用している従業員がいる場合は、実質的に解雇扱いになるので、解雇予告金などの費用が発生するよ。

あとは、従業員の今後の就職先などの進路についてもしっかりとサポートが必要だね。

薬局を閉めることって、経営者として従業員に伝えづらいことであるけれど、閉めることが決まったら、早めに従業員に伝えることが大切になるね。

人が関わることなので、経営者にとって一番心苦しいところだね。

2. 不動産について

不動産の契約内容によっては、すぐに解約できなかったり、膨大な経費がかかることがあるよ。

契約時に契約内容についてしっかり理解しておくことが大切だね。

契約の解約の通知を行う

普通借家契約の場合：
通常は３ヶ月前の申し出によって解約が可能だから、閉めることが決まったら、はやめに通知することが大切だね。

定期借家契約の場合：
契約期間が残っている場合での解約は、解約金等のペナルティが発生することがあるので確認が必要だね。

テナントの現状回復

テナントを元の状態に現状回復することが大体は義務付けられているよ。

解体には、15坪ほどのテナントで、大体80万円程度、分包機や冷蔵庫などの大型機械の処分には、大体20万円程度。これくらいかかるのが一般的だね。

お店が広かったり、大型機械が多い場合には、上記金額より多くなるので結構な負担がかかることを覚悟しないとね。

リースを組んでいる機械（レセコンや分包機など）は、機械を処分しても途中解約はできないから、残金は払わなければいけないね。

今後の支払いについて、一括で支払いを終えるか、継続して払いきるかを考えないといけないね。

3. 許認可の手続きについて

薬局を開設するときに様々な書類を行政に提出し許可をとったのと同じように、薬局を閉めるときも、申請をしている数だけ、廃業届けの書類を提出しなければいけないよ。

お金はかからないけれど、非常に手間のかかることなので根気が必要になるね。

何の書類を提出すればよいのか分からないときは、管轄の保健所の担当者に相談しよう。

ざっくりとだけど、下記の手続きを参考にしてね。

社会保険事務局に提出

• 保険薬局廃止届
• 薬剤師変更届
• 管理薬剤師変更届

保健所に提出

• 薬局廃止届
• 薬剤師変更届
• 麻薬小売業者廃止届
• 免許失効による所有麻薬届
  ∟麻薬を所有していない場合 ⇒所有麻薬届に「なし」を記入。
  ∟麻薬を所有している場合 ⇒免許失効による麻薬譲渡届。
  ∟譲受した場合 ⇒譲受薬局は受領書を提出。譲渡先が無ければ廃棄処分。
• 結核予防法による指定薬局辞退届
• 被爆者一般疾病医療機関辞退届

各区保健センター(地域保険課) に提出

• 特定疾患治療研究委託契約辞退届
• 先天性血液凝固因子障害等委託契約辞退届

各労働基準監督署に提出

• 労災保険薬局の指定廃止届

薬局所在地の区役所に提出

• 生活保護法の指定薬局廃止届

4. 医薬品の在庫

薬局の中で一番大きな資産が医薬品の在庫だね。大きな薬局であればあるほど、医薬品の在庫は多いはず。

医薬品の在庫の処分は、薬局を閉店するまでに対処しないといけないんだ。お薬の取引ができなくなるからね。何も対応しないと、全て破棄しなければいけなくなるから、注意が必要だよ。

医薬品の在庫の処分について、少しでも破棄を減らせるようにやっておいた方がよいポイントを5つ紹介するね。

1. 閉店日に合わせて医薬品の在庫を縮小・調整する
2. 仕入れたばかりの医薬品が返品できないか卸に確認する
3. 薬局が数店舗ある場合は他店舗で利用できる医薬品を分別する
4. 近隣の薬局で医薬品を購入してもらえないか確認する
5. 医薬品の買取を行っている業者に買取の見積もりを依頼する

おわりに

説明のとおり、薬局を始めるときにも手間とお金がかかり大変だけど、薬局を閉めるときにも、相応の手間とお金がかかるね。借り入れなどをしている場合は、もちろん返済しなければならないし。

薬局をはじめるときは軽視してしまいがちだけど、薬局を閉めるときのリスクを知った上で決断して独立を考えることが大切だよ。

そして、一度はじめたら簡単には後戻りできない、という認識が重要だね。