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かかりつけ薬局の広がりと調剤薬局の今後
平成27年5月に厚生労働省は、「患者のための薬局ビジョン」を掲げ、57,000のすべての薬局を「かかりつけ薬局」に再編すると表明しました。
簡単に言い換えると、従来の門前薬局(病院のすぐそばにある薬局)の体制から、より患者にとって安心して通える「かかりつけ薬局」を目指そうという方針が発表された、ということです。
門前薬局から、かかりつけ薬局に方針転換することで
「具体的に薬局業務の何がどう変わるの?」
「うちの薬局はこのままでも大丈夫?」
など、薬剤師の中には不安や疑問を抱いている人も少なくないでしょう。
今回の記事では、「かかりつけ薬局」に求められる機能と、その対策についてお話していきます。
目次
そもそも、【かかりつけ薬局】とは?
かかりつけ薬局とは、患者の服薬状況を一元的に管理できる薬局です。
まず患者さん視点で見てみましょう。
かかりつけ薬局ってこんなところ!
- 自分の病状や服薬状況を管理してくれている薬局
- いつでも気軽に薬のことについて相談できる薬局
かかりつけ薬局は、身近にある行きつけの調剤薬局のことで、患者さんの薬の履歴をまとめて管理し、正しく薬を使用するためのアドバイスを行います。
複数の医療機関に通院している場合などに、同じ薬が重複して処方されてしまうことがあります。かかりつけ薬局はこういったケースに対して、地域の薬の交通整理を行う役割を果たします。
それでは、薬局・薬剤師視点から、かかりつけ薬局に求められている機能をもっと詳しくみていきましょう。
かかりつけ薬局が持つべき3つの機能とその対策
厚生労働省などの指針をもとに、かかりつけ薬局が持つべき3つの機能と、具体的な対策についてお話します。
- 服薬情報の一元的・継続的把握とそれに基づく薬学的管理・指導
- 24時間対応、在宅対応
- かかりつけ医をはじめとした医療機関等との連携強化
1. 服薬情報の一元的・継続的把握とそれに基づく薬学的管理・指導
副作用などの継続的な確認、多剤・重複投与や相互作用の防止など、薬学的管理指導を行います。
「一元的・継続的な」管理指導というところがポイントですね。
具体的には、
- 主治医との連携
- 患者からの丁寧なヒアリング
- お薬手帳の内容把握等を通じ、患者がかかっている全ての医療機関やOTCも含めた服薬情報を一元的・継続的に管理。
- 薬歴への記載。お薬手帳の一冊化・集約化、電子お薬手帳の活用。
といったところです。
様々な医療機関からの処方せんに対応するためには、薬の種類や在庫を増やさなければなりません。また、調剤しか行っていないところは、要指導医薬品やOTC、サプリメントや衛生材料、介護用品の取り扱いなども検討していくべきでしょう。
2. 24時間対応、在宅対応
また、開局時間に限らず相談を応需することや、在宅での薬学的管理が求められています。
- 開局時間外でも随時電話相談を実施。
- 夜間・休日も在宅患者の症状悪化時などに調剤実施。
- 残薬確認等のため在宅対応にも積極的に関与。
いままでのように、門前のクリニックに合わせて木曜は休み、昼休みはお店を一時閉めるというような体制は好ましくありません。
3. かかりつけ医をはじめとした医療機関等との連携強化
そして、今まで以上に処方内容に気をつけ、適切な疑義照会や処方提案を実施していくことになります。
- 地域の医療機関と連携。
- 調剤後もフォローし、服薬情報や副作用の情報を医師にフィードバック。
- 残薬管理や処方変更の提案を行う。
- OTCや健康相談に対応、必要な場合は受診勧奨。
このように、地域の最前線に出て薬剤管理をする必要性があります。
かかりつけ薬局に求められている、さらなる2つの機能
様々な患者からのかかりつけのニーズと今後の地域包括ケアシステムの構築にあわせ、かかりつけ薬局にはさらに2つの機能が求められています。
- 健康サポート機能
- 高度薬学管理機能
それぞれの機能について、具体的に見ていきましょう。
1. 健康サポート機能
地域住民による主体的な健康の維持・増進の支援のため、健康相談を幅広く受け付けられる体制が求められています。
具体的には、
- 薬の相談会など、地域住民の健康サポートを具体的に支援
- 相談対応や関係機関の紹介などに関する研修を修了した薬剤師が常駐
- 平日働く人が相談できるよう、土日も一定時間開局
- 要指導医薬品、衛生材料、介護用品などを適切に選択できるような供給機能や助言の体制
- プライバシーに配慮した相談窓口の設置
といった内容になります。
2. 高度薬学管理機能
また、高度な薬学的管理ニーズへの対応が期待されています。
- 高度な知識・技術と臨床経験を有する専門薬剤師の配置
- 専門医療機関との間で、新たな治療薬や個別症例などに関する勉強会・研修会を共同で開催するなどの取り組みを継続的に実施
- がんやHIV、難病の疾患を有する患者に対して医療機関と連携し、副作用や処方検討の助言や支援
※ 参考
地域の薬のドクターと言われるだけあり、かかりつけ薬局に求められているハードルは高いですね。
かかりつけ薬局が機能することで、得られる 7つのメリット
求められているハードルは高いですが、「かかりつけ薬局」があることで地域や国には次のような7つのメリットがもたらされます。
- 多剤・重複投与のチェック、相互作用の防止
- 副作用や効果の継続的な確認
- 在宅でも行き届いた薬学的管理が受けられる
- いつでも電話などで相談できる
- 丁寧な説明により患者の理解度を上げ、飲み忘れ防止
- 重複投与や残薬で無駄になる薬を減らす→医療費削減
- OTCやサプリメントの相談にも対応
それでは最後に、かかりつけ薬局の広がりと調剤薬局の今後について触れてみたいと思います。
かかりつけ薬局の広がりと調剤薬局の今後
かかりつけ薬局として対応できない薬局はどうなる?
政府の方針では、2025年までにすべての薬局がかかりつけ薬局としての機能を持つことを目標としています。
2035年には、患者に身近な日常生活圏域(概ね30分)で、地域包括ケアの一端を担える体制の構築を目指していますので、かかりつけ薬局を経営していくためには、薬局の立地の見直しも含め、求められる設備や人材の確保・充実など、かかりつけ薬局の整備が求められることでしょう。
対応できない薬局は、(他の薬局と比べ)提供できるサービスが少ない薬局とも言えますので、客離れが進む可能性もあります。
個人薬局に勝機はあるか?
M&A(統合合併)などの業界再編の動きもまた活発化すると思われます。これは、力のある大手チェーンにとって有利な状況と思われるかもしれません。
一方で、調剤報酬の減算やジェネリック医薬品の在庫を抱えて経営が厳しくなっている個人薬局にとっては、向かい風となる状況とも言えます。
それには地域の複数の薬局間で連携をとり、横のつながりを深める必要があります。
おわりに
かかりつけ薬局が一般化することで不安要素もあるかと思いますが、患者さんにとってのメリットは増えます。
それに、これまで薬に頼らなかった人が薬局・薬剤師に対して寛容になる可能性も十分にあります。薬剤師にとっても活躍の場が広がり、本来持っている専門性や職能を発揮して社会に貢献できる環境が整うというメリットがあります。
実際に、この「かかりつけ薬局」構想がどこまで実現していくかわかりません。
しかし、2016年の4月に調剤報酬の改定も実施され、各薬局はこれまで以上に魅力的で選ばれる薬局をつくる努力と工夫が求められるようになることに間違いはないでしょう。
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