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放射性医薬品について
最終更新日:2018年10月5日
昨年の福島第一原発の事故により、放射性物質に対する関心が急速に高まっていますが、薬剤師はもともと放射性物質に縁の深い仕事です。それは、放射性物質を利用した放射性医薬品を取り扱う事ができるからです。
放射性医薬品とは、診断や治療に用いられる「非密封の放射性同位元素、その化合物及びそれらの製剤」を言います。半減期があるため時間とともに減衰してしまうので有効期間が短い事、一歩間違えば放射線障害を生ずる危険な物質である事、超微量を用い薬理作用はなく放射線の効果のみを利用する事、主な特徴となります。
大きく分けて、以下のような3種類のカテゴリに分類できます。
- in vivo診断用放射性医薬品
- 人体内に投与するものを「in vivo放射性医薬品」といい、そのうち診断の目的で使用されるものを「in vivo診断用放射性医薬品」と呼びます。血漿量、血液量や心拍数の測定や腎機能診断に用いるヨウ素系物質、がんの骨転移を調べるテクネチウム、また脳の糖代謝や一般腫瘍の測定法として広まっているPET診断などがあります。生体内物質と同様の挙動を取る事を利用し、測定・診断に利用されています。いずれも半減期が短いので(数10分~数時間)、医療の現場の近くで使用しなければなりません。
- in vivo治療用放射性医薬品
- 同じ「in vivo放射性医薬品」でも、治療の目的で使用されるものを「in vivo治療用放射性医薬品」と呼びます。疼痛緩和にストロンチウム、甲状腺機能亢進症や甲状腺がんの放射線治療に使われるヨウ化ナトリウムなどがあります。
- inin vitro用放射性医薬品
- 逆に人体内に投与しないで診断・測定を行うものを「inin vitro用放射性医薬品」といいます。その分析法のひとつにラジオイムノアッセイがあります。患者から採取した生体微量成分とin vitro用放射性医薬品を試験管の中で抗原抗体反応させて、病気の診断をする方法です。この方法は薬物、ビタミン、腫瘍抗原の定量にも用いられていて、直接投与しないので非常に安全に測定する事ができます。
輸血用血液を放射線照射した血液製剤も一種の放射性医薬品と言えます。照射する事で輸血する血液に含まれるリンパ球が、患者の組織を攻撃するのを防止する効果があります。
この様に一口に放射性物質と言っても、医療の現場にはなくてはならないものも存在しています。関心の高まっている現在であるからこそ、その適切な使用方法や情報提供に対して薬剤師の存在は一層重要になっていると言えるでしょう。
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