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  4. 代表的な抗ウイルス薬とその作用

代表的な抗ウイルス薬とその作用

ウィルスは、細胞を持たないで遺伝子だけを所有する、生物とは言いがたい存在です。

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なぜなら、生物科学では、細胞を基本単位として代謝や分裂、増殖可能なものが生物だと定義しているからです。そのため、細胞を持たないウィルスは非細胞生物、あるいは、非生物としての位置づけになります。

ウィルスの特徴は、細胞は持ちませんが、遺伝子を他の生物の細胞に侵入させて、増殖していく事です。感染経路は様々ですが、主に目や口や鼻などの粘膜から侵入します。
また、蚊やダニなどの昆虫や寄生虫が刺すことによって感染したり、傷口や注射針、性交渉などでも感染します。

体内に侵入したウイルスは、まず標的になる宿主細胞の表面に吸着します。
ウィルス自体に意思も運動能力もありませんが、ウイルスの表面にはスパイクタンパク質と呼ばれる突起が付いており、これが宿主細胞の表面に吸着します。
ウイルスのスパイクタンパク質は、自分が増殖できる細胞にしか吸着できません。
宿主細胞の表面には、糖タンパク質がありますが、そこにウィルスとの親和性のあるレセプター(受容体)がある場合にのみ、ウィルスは吸着することができ、自らの遺伝子情報を宿主細胞の中に侵入させて、増殖させていきます。
細胞内の栄養をフル稼働で使い果たし、ウィルスを増産させて、細胞外へ排出させていきます。そして、その新しいウィルスがまた、別の宿主細胞に吸着して、同じような連鎖が起こります。これが、ウィルス感染の実態です。

ウイルスに感染した細胞は、インターフェロンという物質を放出します。
そして、まだ感染していない細胞がウイルスに感染しないように、ウィルスの遺伝子情報を送ります。その遺伝子情報に基づいて、免疫細胞がそれに対抗する抗体を量産します。
そして、その抗体でウィルスに攻撃を仕掛けて、不活性化します。
免疫がこの闘いに勝った場合、リンパ球は侵入したウイルスの遺伝子情報を記憶します。
そして、次に同じウイルスが感染したときには、より早く効果的に対処します。
このしくみを「免疫」と呼びます。

ワクチンは免疫にウィルスの情報を覚えさせて、免疫抗体を作らせます。
だから再び感染しても、すぐに免疫が働いてウィルスを撃退できると言う訳です。基本的に抗ウィルス薬の役目は、このワクチンと同じように、ウィルスの不活性化をもたらすものです。

◆代表的な抗ウイルス薬と作用◆

■インターフェロン
サイトカインの一種で、ウィルスが感染する前の細胞に抗ウイルス性を発揮します。
ウィルス性の抗がん剤としても用いられます。

■抗ヘルペス剤
細胞内でのヘルペスウイルスのDNA合成を阻害します.
重症のヘルペス感染症は、アシクロビルの静脈注射で治療します。

■抗インフルエンザ薬
アマダジンは、細胞への吸着を阻害します。
ノイラミダーゼ阻害薬は、ウイルス・ノイラミニダーゼを抑制してウィルスが増殖しないようにします。
RNAポリメラーゼ阻害剤も、ウイルスの遺伝子複製時に作用を示し、増殖を防ぎます。

■抗HIV剤
抗HIV剤は、逆転写酵素阻害薬、プロテアーゼ阻害薬、インテグラーゼ阻害薬、CCR5阻害薬に分けられます。HIVがもつ逆転写酵素の働きを阻害し、ウイルスが増えるのを抑えます。

■ビダフラビン
ウィルスのDNA複製を阻害し、ヌクレオチド生成を抑制し、タンパク質合成も阻害するので増殖を阻止します。

■免疫調整剤
免免疫力を高めて、免疫抗体反応でウィルスを排除させます。
また、日和見感染の予防の為に使用します。

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